
“今”な靴選びの傾向について触れておきたい。昨年のパラダイムシフトを経て、世のニーズはどのように変わったのだろうか?
定番モデルの支持は
ニューノーマルでも揺らぎませんでした

日本橋三越本店 紳士靴バイヤー
髙塚佳伸さん
5万円以下のゾーンではオンオフ兼用できる汎用性重視、10万円以下ではオフィスカジュアル用の靴が人気と、価格帯別に異なる傾向が見られました。一方で最高級レンジにおいては各社のマスターピース的モデルが安定して支持されており、名靴の信頼が不動であることを物語っていました。
「オンオフ兼用」がキーワードに。
機能性を重視する方も増えました

阪急メンズ東京 紳士靴バイヤー
宮武 巧さん
オンオフ兼用というキーワードがますます重要になってきていると感じています。ビジネスシーンだけでなく、カジュアルスタイルに活用できるものが好調ですね。また、デザイン性だけでなく機能を重視して靴選びをされるお客様がさらに増加傾向。中でもラバーソールの靴が大変人気です。
本格靴は今、スリッポン系のシェアが
かつてないほど高まっています

ビームス プレス
間瀬裕介さん
これはニューノーマル以前から続くビジネススタイルのカジュアル化によるものですが、仕事使いのみに限定される紐靴は縮小傾向にあり、より汎用性に優れたスリッポン系の革靴にニーズが集中している状況にあります。新機軸としては、紐靴より着脱が簡単なシングルモンクが好調ですね。
休日靴においては“スニーカー感覚の革靴”が
大人のスタンダードに

ユナイテッドアローズ プレス
藤原和広さん
ビジネス用の靴はカジュアル化の傾向が見られますが、サイドゴアブーツやシングルモンクなどくだけすぎないものが人気です。休日用の革靴は、ベルジャンシューズなど軽快な印象でスニーカー感覚で履けるものが好評。ビットやタッセル、ラバーソールといったディテールも注目です。
働き方の変化を経て
“ビジネスシューズ”の幅が広がりました

バーニーズ ニューヨーク メンズPR
藤枝理紗さん
働き方の変化によって、“ビジネスシューズ”という概念が広がったと感じています。ローファー、サイドゴアブーツ、レザースニーカーなど、かつてはカジュアル靴とみなされていたものも仕事で活用できる時代に。また正統派のドレス靴も、より柔らかい履き心地のものが求められています。
定番モデルの中でもカジュアルなものが
より人気を博しています

ジェイエムウエストン
マーケティング・マネージャー
仲西裕美さん
ロングセラーモデルが多いジェイエムウエストンの中でも「シグニチャーローファー」や「ゴルフ」といったカジュアルに履ける定番が好調です。近年はこれらから派生した「ユージーン」シリーズや「ゴルフハイトップ」といった新作も多く発売され、いずれもファンの方々から大変好評です。
[MEN’S EX 2021年2・3月合併号DIGITAL Editionの記事を再構成]