魅力的なモデルが増えたカテゴリー、新型SLの人気再燃なるか?


こうしてSLは着実に代を重ねているが、2000年代以降はさまざまなライバルが登場する。BMWは6シリーズカブリオレ(現行は8シリーズカブリオレ)やジャガーXKカブリオレ、さらにフェラーリが実用性や快適性を重視し、初の電動格納ルーフを備えた2+2のカリフォルニア(現在のポルトフィーノ)などを投入しはじめた。

ちなみに現在、日本勢でこのカテゴリーのモデルは、唯一、レクサスLCコンバーチブルがある。日本車離れのスタイリングは、とても魅力的だ。

またニュータイプとしてはプラグインハイブリッドのBMW i8ロードスターという選択肢もある。見た目はスーパーカーのようだが、静かな電動車であり、乗り味はとても快適だ。
フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンなどのスーパーカー系にもいまやオープンモデルは必須になった。近年はカーボンモノコックの採用で、屋根がなくとも剛性の高いボディを実現できるようになったことで“スパイダー”や“ロードスター”の名が付与されたオープンモデルのラインアップに拍車がかかっている。

SLと同様に車名を変えることなく代を重ねているのは、対抗馬のポルシェ911カブリオレだ。日本ではクーペモデルがほとんどだが、欧州では911の約半数をカブリオレが占めるというほどの人気だ。

メルセデスに話題を戻すと、ポルシェ911の対抗モデルとして2015年に市場導入を開始したメルセデスAMG GTに、2017年、オープンモデルのロードスターを追加している。SLとカニバリを起こしていることもあって、SLCに続いてSLもついに歴史に幕を閉じるかという噂もあったのだが、実はメルセデスAMGが中心となり次期型SLの開発が進められているという。
新型では電動格納式のバリオルーフをやめて、ソフトトップへ回帰。911と対抗すべく実用性を高めるために2シーターから2+2へ変更すると予想されている。2021年の発表と目されており、SLの人気再燃なるか、大いに注目だ。

文/藤野太一 編集/iconic