「旬のフレンチを薫らせるのに絶好のアイテム」
(中村さん)

M.E. 今回のテーマはボーダートップス。春夏ではどのショップでも見かける定番アイテムで、マリンのイメージが強いものでもありますが、秋冬となると捉え方が変わるのでしょうか?
中村 そうですね。この秋冬に注目したいボーダーは、春夏から続くフレンチの流れを汲んだものになります。
西口 具体的にいうと、黒を絡めた2色縞、そして幅6cm程度の太いボーダーが数多く提案されているのが今季のトピックになりますね。
中村 こういう太縞は、’80年代フレンチブーム期のマストアイテムでした。ビームスのスタッフもこぞって着ていましたね。当時はこれにカーディガンを羽織ったり、ジャージー素材のイージーパンツを合わせて足元はダンスシューズという服装が定番でした。
西口 そんな合わせは今、再び気分でもありますよね。
M.E. ちなみにフレンチといえば、バスクシャツもアイコン的ですが……。
中村 そうですね。バスクシャツも今、フレンチ復権を受けて旬なアイテムになっています。’80年代は下にシャツやポロシャツをレイヤードしたりしていましたが、今どきに見せるなら、一枚でサラリと着るのがよいのでは。ただ、今回は秋冬のトピックということで太縞のクルーネックを選びました。
「過去にはなかったニット素材が今季の注目」
(西口さん)
西口 今季ならではのアイテムとして、ウールのニット地で太幅ボーダーを表現したものにも注目したいところですね。以前はあまり見かけなかったですし、暖かいので冬まで活躍します。ちなみに、’80年代にアイコンだった太縞ボーダーは、縞の比率が1:1ではなく、実はほんの少しだけ黒の幅が広いんです。この別注ルトロワは、そこまでこだわって作っているんですよ。
M.E. そんな深い逸話もあるとは……。ところで、ボーダーのTシャツやニットを今の気分で着るなら、どんなコーディネートがおすすめですか?
中村 読者の皆様がお持ちのアイテムでということで考えると、例えばネイビーブレザーのインナーに着るだけでも洒落ていますよね。ボトムスはミリタリーパンツなどを合わせると、フレンチトラッド的なムードも出ます。
西口 スーツのインナーに着てもいいですよね。ただし、あまりカッチリとしたスーツには合わないので、リラックス感のあるカジュアルスーツとコーディネートするのがおすすめです。適度にゆとりのあるシルエット、柔らかな芯地づかいによる軽い仕立てといったことに加えて、素材選びも重要。ドレープが綺麗に出るしなやかな生地を選べば、全体で上質感も演出できます。
中村 シンプルに合わせればコーディネートは決して難しくありません。最近人気のセットアップとも好相性ですね。今までは無地のTシャツをインすることが多かったと思いますが、それをボーダーに変えるだけで、グッと新鮮な着こなしに見えるはずです。もっとリラックスしたスタイルなら、デニムやドローコードパンツに合わせてもよいでしょう。とにかく便利に使えるのがボーダーTの魅力なんです。ビームスのスタッフの間でも今、着用率がものすごく高いアイテムですね。
西口 春夏は早くから完売が続出して、店頭はボーダーTが欠乏状態でした。それだけに、秋冬もお早めにチェックされることをおすすめします。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年9月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)