人との出会いに救われてきた役者人生。我がことながらこれからが楽しみ
役者とはどんな仕事ですか。
とにかく台本を読み込めば、台本から教えられることがある。そして台詞が完璧に入っていれば、あとは自然にその役になっていけるというところがあるのです。あとは衣装、扮装の力も大きいですね。役者というのは、気持ちの悪い仕事だと思うのですが(笑)、衣装を着てメイクをすれば、その人物になった気になれるものなのです。
僕はいつも台本が大事ということを言っているのですが、『真田丸』にしても『なつぞら』にしても、とにかく台本が面白かった。台本が面白いと、スタッフの熱が一気に上がるんです。
再ブレイクをはたした今、取り組んでみたい作品は。
こんなチャレンジがしたい、というより「僕という役者をどのように料理してくれるのだろう」ということに、僕はワクワクします。いただいた台本を読んでいるうちに「どうしてもこの役、やりたい」とパッションを駆り立てられていきます。ですから、自分がお引き受けすることになった役柄そのものが、僕にとっては「これから取り組んでみたい」ことですね。
振り返ってみて、芸能生活50年いかがですか。
二枚目を演じることが多かった若い頃、まるで一人で生きてきたように突っ張り、天狗になった僕に、神様が大きな試練をお与えになったこともありました。ドロドロしたものを抑えきれず、家族にぶつけたときもあります。そのことを申し訳なく思い出します。
でも、僕は幸せだと思います。いいときも厳しいときも、僕には人との出会いがありました。その一つひとつに何度も救われてきました。奇跡のような出会いが、僕を次のステージへと誘ってくれました。映画でもテレビでも舞台でも、作品と真摯に向き合っていると、次の「何か」を引き寄せてくれます。重ねてきた幾つものことが地層のように重なって、今の僕を作っています。未だ見ぬこれからの出会い、我がことながら楽しみです。