一流のトップは逆境でいかなる言葉と気持ちを大切にし、乗り切ってきたのか。本連載にご登場頂いた方々のなかで、加藤綾子さんの心に特に残っている7名のリーダーたちに今の心得を聞いた。
【加藤綾子の心に響いた 稀代のリーダーたちが贈る 今を乗り切るヒント】
第6回 バンダイナムコエンターテインメント 代表取締役社長 宮河恭夫さんのコトバ

「All You Need Is Love」
イギリスのリバプールで誕生したビートルズが、1967年に世界初の試みとして、通信衛星を利用し24ヶ国で同時放送を行った番組内で披露した『All You Need Is Love』。ビートルズは歌を通じて世界に愛のメッセージを伝えました。あれから50年以上経ちますが、今になっても私は「愛こそはすべて」だと思っています。
私自身、逆境に遭遇する場面が多く(笑)、“逆境こそチャンス”と捉えるタイプですが、これまでを振り返ってみると、どんな試練のときでも、家族、友人、会社の仲間など、周りの人たちに助けてもらい、背中を押してもらい、支えてもらいながら乗り越えてきました。
今、世界中で新型コロナウイルス感染症が拡大していますが、医療従事者の方をはじめ、ひとりひとりが「感染させないように」と誰かを想いながら、さまざまな制約の中で行動しています。これは愛情がなければ出来ないことです。自分の周りの人を愛して行動すれば、逆境も乗り越えられ、世界中の争いもなくなると信じています。
これからもエンターテインメントを提供する会社の代表として、この環境下の中で何が出来るのか考えていきたいと思っています。「All You Need Is Love」。
カトMEMO
- エンターテイメントの世界に生きる経営者だからこその感覚や勘を重視されていたのが新鮮。
- 周囲の人だけでなく、間接的に関わっている人たちへの感謝や愛情をもてるようにしたい。

宮河恭夫 Yasuo Miyakawa
1956年生まれ。’81年にバンダイに入社し、ガンプラの営業担当に。2000年にグループ会社で国内有数のアニメーション会社であるサンライズ入社。『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダムUC』など様々な人気アニメのエグゼクティブプロデューサーなどを歴任。’14年にサンライズ代表取締役社長に就任し、’19年より現職。

加藤綾子 Ayako Kato
1985年埼玉生まれ。2008年フジテレビ入社、看板アナウンサーとして活躍。’16年、フリーアナウンサーとなり女優としても活動。現在は報道番組『Live News it!』(CX)のメインキャスターを務めるほか、『ホンマでっか!? TV』(CX)にレギュラー出演中。
著書に『会話は、とぎれていい―愛される48のヒント』(文響社刊)。

働き方から生き方、価値観まで、この数ヶ月で大きく変わりました。苦しいこと、つらいこともありました。しかし、これまで凝り固まっていた固定観念や慣習がプラスに変わるきっかけにもなったと思います。毎号の「一流思考のヒント」連載では様々なトップの生き方、仕事を通して得てきた思考をご紹介してきました。多くのトップは大変な時期こそチャンスと捉えてきましたが、今回の特別編では今の逆境に対する考え方を、皆さまに寄稿いただきました。これから私たちは変われるのか、試されている時期だと思います。困難を乗り越えた先には、必ず、世界は良くなると信じて。
[MEN’S EX 2020年8月号の記事を再構成]
撮影/前 康輔、鈴木泰之 スタイリング/後藤仁子〈加藤さん〉