2代目、4代目ボンドの着こなし
英国紳士の正統を押さえつつ、時代性のあるアレンジを加えるのもボンドスタイル
007のファッションは、6代目ダニエル・クレイグの時代にさらに大きな転機を迎えた。彼がボンドを務める2作目『慰めの報酬』で、アメリカ人デザイナー、トム・フォードのモダンなスーツを採用したのだ。
ベーシックなグレーや紺を基調にしつつ、シルエットはぐっとスリム。これをナロータイやタブカラーシャツでミニマルに着こなす様にはストイックな男の色気が漂い、原作への原点回帰とも言えるハードでシリアスなシリーズにぴったりハマっている。
と、このように英国紳士の正統的な装いの基本を押さえつつ、そこに縛られず時代に相応しいアレンジを加えてきたのがボンドスタイル。
そもそもボンドのキャラ自体も、ウォッカベースのシェイクしたマティーニを愛飲していたり、タキシードにダイバーズをつけたりと、型を知った上でそれを破る人物として造形されている。
そこに男は本能的にグッとくる。“本物”や“王道”を見極め、それを自分の流儀でスマートに嗜む姿に、一歩先の自分を目指す男が痺れるのは当然なのだ。
TOM FORD / トム フォード
[007 オコナー]
![[007 オコナー]](https://www.mens-ex.jp/wp/wp-content/uploads/2020/04/c_fashon_200417_007_01.jpg)
ダニエル・クレイグ主演007の2作目からトム・フォードが衣装を担当。写真は4作目『スペクター』用に制作したモデル。
このオコナーは3作目『スカイフォール』で初めて登場し、その仕上がりをトム・フォード自身がいたく気に入り、以後着丈などを微修正して「トム フォード」ブランドで展開することになったのだ。
細身ながら、構築的な肩周りや強く絞り込まれたウエストシェイプでメリハリの効いた美しいスタイルが築ける。49万円(トムフォード ジャパン)
【6代目(’06-)】
ダニエル・クレイグ
シリーズ初の金髪のボンド。クールなルックスに当初賛否はあったが、若く荒削りな007は原点回帰を目指すシリーズに最適だったようで『カジノ・ロワイヤル』以降の主演4作はいずれも大ヒット。引退作となる5作目『ノー・タイム・トゥ・ダイ』は11月公開予定。
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[MEN’S EX 2020年5月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)