「AIでは成し得ない、人の心を動かす装い」――野口さん
森岡さん 皆さんラフですね。スーツを着ている人は、ひとりもいないようですが。
野口さん ファッション企業ですから、スーツどころかジャケットさえ着る機会は稀です。
森岡さん ここでは、どんな業務を?
野口さん いわゆるAI開発です。昨年ローンチした、写真から服を探すことができるAIを使った類似アイテム検索など、様々な新技術をここで開発しています。私は主にAIを駆使したシステムやサービス開発に携わっています。
森岡さん 若い方が多いですね。野口さんは年齢的にも立場的にも上の方ですが、スーツを着る機会はないのですか?
野口さん 普段仕事で接することが多い相手はエンジニアかクライアントですが、僕の立場でもスーツとは無縁です。以前、クライアントによっては意識的に着たこともありましたが、そのクライアントもラフな場合が多いので、気づけば快適さを重視したカジュアルウェアばかりになってしまいました。
森岡さん 社内外でカジュアルな環境とのことなのでそれでもいいのかもしれませんが、たまにはスーツを着ておかないといざ着た時にいかにも不慣れに見えてしまいます。普段着ないからと、着られない人になっては良くないですね。
野口さん おっしゃる通り。今年の会社のテーマも「More Fashion・Fashion Tech」ですから。
森岡さん そこで選んだのが、上司というお立場も感じさせる、クラス感のあるダブルブレステッドのスーツ。いつもとかけ離れているようですが、野口さんは体格ががっちりしているので、クラシックなダブルのスーツが本当は似合うんです。色は黒に近いチャコールグレーですが、ピッチの広いストライプなので堅苦しさは控えめ。黒地のタイで、胸元に旬のモノトーンを挿し、今の時代感も感じさせる着こなしに。
野口さん ダブルのスーツなんて、初めて着ました。いつも黒やネイビーといったダークカラーが多いですが、まるで印象が違いますね。
森岡さん 装いに変化を求める場合、ドラスティックにいつもと違う色にチャレンジするのもひとつの手。ですが、親しみのある色を使いながらも、スタイルを変えることで違いを出すことは可能。いつものラフなコーデも、質感やトーンを変えれば印象は変わります。
野口さん ZOZOグループの全体会議の時に、服装へのお達しがあるんです。スーツが絶対というわけではありませんが、ドレスアップするべしと。今度の会議では、ダブルのスーツにチャレンジしてみたいです。
森岡さん ラフな服装の人が多いからこそ、その心意気はより伝わると思います。
野口さん 当社では服装の悩みを解決してくれる研究などが行われていますが、これがなかなか簡単なお題ではないんです。私自身がそれをより深く理解するためにも、新しいファッションにどんどん挑戦しなくてはいけませんね。今回身をもって感じました。
森岡さん まだAIには負けませんよ(笑)
野口さん 森岡さんのスタイリングデータに興味が湧いてきました(笑)