地上ではこのアンテナ展開試験を何度もやっていました。でも、宇宙で成功しなければ意味がありません。地上で1000回成功しても、宇宙で1回、この1回が成功しなければなんの意味もないんです。 イザナギの姿勢が落ち着いてきたら、アンテナを展開するコマンドを送る予定でした。もう緊張の瞬間ですね。(ちなみに衛星は宇宙に放り出された後は、空気抵抗がなく、ずっとくるくる回り続けているので、それを落ち着かせる調整がしばらく必要なんです) イザナギはけっこうなじゃじゃ馬で、なかなか姿勢が落ち着かず、予定よりじっくり時間をかけて調整し、初交信成功から4日後、16日にアンテナ展開のコマンドを送りました。 「さあ、展開して!」 これを送ると、簡単にいえば、留めているバネが外れてパンッ!と開く仕組みになっています。宇宙に見に行けたらいいんですけどね。実際の目で見られないのは残念です。(でも、2号機目からオンボードカメラを付ける予定なので、その様子も見られるんですよ) その後、イザナギから送られてくるデータで、アンテナがしっかり開いたことが分かりました。 「え、うん、これとこれが作動している、これも正しく作動している、じゃあ、開いているんだね」と、ひとつひとつの成功は地味な感じで結果がわかるのです。 でも、じわじわと喜びが。そう、イザナギはすごい大技をやってのけました! このバネの仕組みを一緒に開発した地場企業、峰勝剛機さんにもすぐに連絡。(打ち上げからこのアンテナ展開まで数日間、もう毎日、いや毎秒、心配で生きた心地がしなかった!と後日談を聞きました)

その後、運用チームは本当にいろんなハードルを乗り越えて、今に至ります。現在はイザナギのミッションであるSARを使った観測を行い、地上のデータを取れるように調整しているところです。 レーダーで電波を出して地上を観測するためには、姿勢、角度がとても重要です。上空570kmからなので、0.05度以上の誤差は許されないのです。 0.05度。。。。 なので、宇宙から針の穴に通すようなそんな正確性を求めて運用チームが日々調整を続けています。

毎日本当に色んなことが起こっていますが、これからもイザナギがどんなことを教えてくれるか、そして、初画像も楽しみでなりません。
(つづく)
関連リンク:株式会社 QPS研究所
文/有吉由妃(QPS研究所) 写真/QPS研究所