人工衛星も定期的な健康診断が大切
その後の2回目、3回目のパスも順調に交信を続け、イザナギの健康状態をチェック。 今、どの部分の温度は何度で、どの部分は正常に働いているよ、バッテリーも充電できているよ、と自分の状態を伝えてもらうのです。衛星も良い仕事をしてもらうにはどこかに異常が起きていないか毎回しっかり知ることが大切です。 ありがたいことに、イザナギは初めからばっちり充電されて元気いっぱいに動いていました。九州の地場企業の方々と作り上げた衛星、その部品ひとつひとつが宇宙という過酷な環境(厳しい宇宙線に加えて、マイナス100度からプラス100度までの温度差)に耐え、しっかり仕事をしているのです。 それは本当に誇らしいことでした!

最大の難関。いよいよ宇宙空間でのアンテナの展開! これにすべてがかかっている
初交信の後の大きなイベント。イザナギにとって最大の難関は「アンテナ展開」です。 レーダーを使うSAR衛星は強い電波が必要で、大きなアンテナが必要です。そのため、今まではなかなかSAR衛星を小型化することができず、数百億円という高コストの大型SAR衛星しかありませんでした。QPS研究所がSAR衛星を小型化できたのは、大きなアンテナを小さく折りたたみ、小型化した衛星に取り付け、宇宙で開く、という大技をやってのける、そんな技術を開発したからです。

宇宙で何か動かすことは本当は極力避けたいんだそうです。一度宇宙に行ってしまうと何かあっても修理しにいくことはできないし、なんといっても地球とは違う環境(重力がない、真空、など)なので、本当にしっかり作動するかどうかも100%ではない。 そこを機械で作動するのではなく、なんと「バネ」の力を使って、宇宙で確実にアンテナを展開する技術(特許取得)が常識を覆すイノベーションの実現となったのです。(これはまた別の機会にぜひ紹介させてください)