まだまだ飲み足りない・・・2軒目に選んだのはまさかのチェコ料理!

若葉でかなり飲んだが、やや飲み足りない。そうだ、木倉町商店街の「やきとり横丁」をのぞいてみるかとタクシーに乗る。ポツポツと雨が降ってきたが、傘なしでもやり過ごせそう。冬の酒場街をポケットに手を突っ込んでそぞろ歩くというのもなかなかオツなもの。すると、気になる店を発見。「チェコ料理ドゥブ」と書いてある。「おもしろそう」とアンテナに何かが引っかかり、入店。

L字型のカウンターの短端に座ると、店主の手際がよく見える好位置だった。先ほどのおでんは魚系だったので、今回は肉な気分。いきなりメイン級の「チェコ風ミートローフ」をオーダー。クミンとマジョラムをたっぷりと使ったアロマティックな一品。

そして肉気分はまだ続きソーセージの酢漬けも追加。これはいい意味でだが、ギョニソっぽい。粗挽きの ソーセージに慣れているとこのなめからさに舌が驚く。店主に尋ねると「肉をエマルジョン、つまり乳化させたタイプなんですよ」とのこと。なるほど、だからそう感じたのかと納得。
この肉たちに合わせたのは「RICE WINE for RED FOODS」。赤い食べ物に合わせて造られた日本酒だ。酒として単体で飲むとかなりの酸味を感じる。しかし、酸がきいているからこそ、こういう料理に本当によく合う。今でこそ欧米で「Sake」と言うと日本酒のことを指すが、その昔は「Rice Wine」と説明していたはず。たしかにこのワイン風日本酒はおもしろい。元々、食中酒として楽しめる日本酒の懐の深さを改めて感じた。

せっかくチェコ料理なのだからビールも飲まねばなるまい。何といっても日本人になじみのあるピルスナーはチェコ発祥なのだし、と言い訳を考えつつ、オーダー。ボクらが普段、目にする泡と黄金の液体のバランスがとれたものを「HLADINKA(ハラディンカ)」といい、ジョッキの中をすべて泡だけで満たすものを「MILKO(ミルコ)」と呼ぶのだそう。無論、どちらもいただいた。

もう一軒、焼き鳥でもと思ったが、次の日もあるのでタクシーで宿へ。深酒しなくなったのも大人の証拠なのか、単に羽目を外せなくなった年のせいなのか。サッとシャワーを浴びて程なくして眠った。
(後編に続く)
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取材・文/藤村 岳