この春、黒ジャケットを“くつろいで”着る

“コンサバジャケットの世界に、黒がやってきた”昨年から本誌では、折に触れてそうご紹介してきた。そしてこの春は、さらに一歩進んだ提案をしたい。今年は、“力を抜いて”黒を着る。そのココロを解説しよう。
TAGLIATORE / タリアトーレ
仕立てと素材の妙で魅せる爽やかな黒無地ジャケット

大人の黒ジャケット、選びの4大要件
クラシック・モード・カジュアルといったファッションジャンルのボーダレス化、そしてモノトーンをベースとするフレンチトラッドの再燃を受けて、長らくコンサバファッションではタブー視されてきた黒ジャケットが、むしろ“今”を体現する刺激的なアイテムとして注目されるようになっている。
昨年秋冬シーズンでも、本誌では黒ブレザーなどを中心にその潮流を紹介してきたが、それらは黒=シャープさ、凛々しさを引き出す色としての装い提案だった。
しかしより軽快感が肝となる春夏においては、もっとくつろいだマインドとコーディネートで黒ジャケットを楽しむのが新しい。これが本誌の2020年的提案である。
凛々しい装いとは違う黒ジャケットの着こなし方は次頁から具体的に解説するが、その前に、春の黒ジャケット選びのポイントを押さえておきたい。
黒無地ジャケットはフォーマル、モード感が強すぎるものも多く、選びを間違えると活用が難しくなってしまうからだ。以下で挙げる“コンサバな黒”の4大要件を念頭に選んでほしい。
黒ジャケット選び4大要件
1.軽い仕立て
パッドや芯地でビルドアップされたドレッシーな黒無地ジャケットは礼服然と見えてしまう危険あり。アンコンの軽快仕立てが基本だ。
2.太めのラペル
モード感の強い印象に転ばないためにはある程度クラシックな作風がよし。ジャケットの顔であるラペルは太め(10cm前後)のものを選ぶのが正解。
3.Not パツパツ
ピタピタのタイトフィットでは黒が暑苦しそうに見えてしまう。余裕ある大人のスタイルを築くために適度なゆとりは必須といえる。
4.ドライな生地
ツルツルのフォーマルなウールは避けるのが無難。ざっくりとした涼感ある素材を選ぶと、黒無地でも春らしい軽やかさを演出できる。

※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2020年3月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)