手腕、手練、上手、敏腕など、賞賛の意を込めた手や腕に関する成句は多い。手は体の重要な一部であり、手元の主張は時に言葉以上の説得力をもつ。ゆえに自らのキャラクターを表すメッセージとしての意思ある時計選びが重要となるのだ。

手は口ほどにモノを言う
白いニットに、ブラウンのメルトン生地のジャケットを羽織る。ボタンは、革のくるみ。いかにも優しく穏やかなコーディネートも、手元に「タグ・ホイヤーモナコキャリバー12クロノグラフファイナルエディション」があると、大胆でアクティブな印象になる。
1969年、自動巻きクロノグラフ・ムーブメントの始祖の1つクロノマティックを初搭載し、モナコは生まれた。生みの親は、創業家4代目ジャック・ホイヤー氏。彼は、革新的なクロノグラフを収めるにふさわしいケースのフォルムとして、スクエア型を選択した。すなわち四角い外観は、タグ・ホイヤーの革新性の表れであり、アバンギャルドさを象徴する。そして1971年には、映画『栄光のル・マン』で主演のスティーブ・マックイーンが着用したことで、モナコは大ヒット。アクティブなレーシング・クロノグラフとのイメージも定着した。それゆえモナコが腕にあると、どんなコーディネートでも大胆な印象となる。そして車を駆る気分も盛り上げる。
マックイーン・モデルと同じブルーダイヤルが定番中の定番だが、これはサテン仕上げのルテニウム製のグレーダイヤルにブラックのインダイヤルの組み合わせ。定番のブルー×ホワイトと比べ、より精悍でシャープであり、シックな印象も併せ持つ。クロノグラフ秒針を染め、時分針とインデックスの一部にあしらわれたレッドが、レーシング・クロノグラフとしての出自を伝える。年齢を重ね、ファッションも精神的にも落ち着きつつあるが、チャレンジ精神を忘れない男の腕によく似合う。

TAG HEUER(タグ・ホイヤー)
モナコ キャリバー12 クロノグラフ ファイナルエディション
スポーティにしてとがったデザイン性で、大胆さもある1本
既存モデルにはないカラーリングと仕上げのダイヤルで、長く搭載してきたCal.12の最後を飾る限定モデルである。限定1000本。自動巻き。ケース39×39㎜。SSケース。アリゲーターストラップ。64万円(LVMHウォッチ・ジュエリー ジャパンタグ・ホイヤー)
[MEN’S EX 2020年1・2月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)