
松山氏&西口氏が“時計から考えるコーディネート”を披露!
西口 さて、今日は松山さんに、ビームス 六本木ヒルズのヴィンテージウォッチコーナーで販売中の時計の中からおすすめをピックアップいただき、時計に合わせた服装をコーディネートしていただきました。まず時計からご説明いただけますでしょうか?
松山 僕が選んだのは、IWCのマーク10。1940年代のもので、英国軍に採用されていたものですね。英国公式採用品の証であるブロードアローが記されているのがポイントです。グレーのNATOストラップが付いていたので、それに合わせて洋服をコーディネートしました。
西口 なるほど。詳しく解説いただけますでしょうか?
松山 全体的にグレーっぽい色でまとめてパンツと靴もグレーと相性のいい柔らかなブラウンを選びました。スポーティな時計なので、服装もタイドアップしているけれど、カジュアルな雰囲気を意識しましたね。ちょっとしたポイントがヒョウ柄の靴下。こういうひょうきんなものも好きなんです。ブーツなので、チラリとしか見えませんしね。
西口 松山さんらしいコーディネートですね。とても素敵です。ちなみに僕も時計とそのコーディネートを選ばせていただきました。
松山 時計はジャガー・ルクルトとエルメスのWネームですね。
西口 そうですね。’60年代のものです。かつてエルメスは様々な時計ブランドとコラボレーションして時計を作っていましたが、この時代はジャガー・ルクルトのような高級時計ブランドが製造を手がけるハイグレードラインもあったそうです。
松山 コンディションもいいですね。
西口 とても綺麗ですよね。エレガントな時計なので、ダークブラウンのコーデュロイスーツとコーディネートしました。インナーはパープルのタートルネックを選んで、野暮ったくならないように適度な色気も加えています。靴はモンキーブーツでちょっとハズしてみました。それから、オマージュということでオレンジのダッフルコートを合わせたのもポイントですね。ちなみにこちらはビームスが英国インバーティアに別注したものですが、生地は今はなきムーアブルック社が使用していた織機を使って、ジョシュア エリス社が織り上げたもの。ムーアブルックといえば、かつてエルメスがダッフルコート生地として採用していたと言われるものですから、ここでも時計とリンクして……すみません、マニアックになりすぎました(笑)。
松山 いやいや、さすがプロですね。
西口 恐れ入ります(笑)。でもやはり、ヴィンテージウォッチは装いのアクセントとして非常に効果的ですよね。
松山 そうですね。時代を超越した美しさがありますから、これぞと思ったものは買って損することはありません。価値も落ちないですしね。時計を投資的に考えるのは好きじゃないのですが、それでも自分が見初めたものが時代を経ても同等以上の価値を持っているというのは気分がいいものです。自分の目は確かだったというプライドも保てますしね。本当に、一生涯かけて愛着を深められるのが魅力だと思います。
西口 そのとおりですね。今日は楽しい対談をありがとうございました!

【松山’s CHOICE】 「IWC マーク10」1940年代
現在まで続くミリタリーウォッチ「マーク」シリーズのルーツとなるモデル。英国軍御用達の証であるブロードアローを備えたモデルとしては「マーク11」が有名だが、こちらはその前身である「マーク10」。状態のよい個体が非常に少ないレアモデルだ。こちらはミラーダイヤル仕様になっており、同モデルのなかでも珍しい一本。ケース径35㎜。120万円

【西口‘s CHOICE】 「エルメス×ジャガー・ルクルト エトリエ」 1960年代
かつては様々な時計ブランドとコラボして時計を発表していたエルメスだが、ジャガー・ルクルトとのダブルネームによるこちらはハイエンドコレクションのひとつとして展開されていたもの。ベースはルクルトの「エトリエ」だが、エルメス流に細かなアレンジが施されている。非常に綺麗な状態の白文字盤に、上品なブレゲ数字が印象的だ。縦23.5(ラグ含めて35)×横28.5㎜。68万円

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撮影/久保田彩子 文/小曽根広光