
セレクトショップのスーツは日本人カスタマーが育ててきた。日本のマーケットを見つめ続け、日本人が袖を通したときのビジネスでの佇まいを突き詰めた名作スーツならではの工夫とは?
UNAITED ARROWS/ユナイテッドアローズ
日本人に映える奥行きあるグレー表現

スーツ7万8000円、シャツ1万3000円/以上ユナイテッドアローズ、タイ1万2000円/ソブリン、チーフ7000円/シモノゴダール(以上ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店)

Sモデル。これはユナイテッドアローズが昨季から展開しているスーツのことで、肩からバストにかけて薄い毛芯のみで形成し、独自の構造により今どきな着心地の軽さを追求しているのが特徴なのだが、じつは生地にも一家言あり。尾州にてオリジナルの生地を製作しているのだ。

さて、本作のグレー生地を見て欲しい。ピンチェック柄が織り成す〝メランジ感〟が奥行きを生んでいるのがわかるだろう。聞けば、第一にビジネスシーンを意識しつつ、ファッション性を加味したかった、とのこと。グレースーツはビジネスの王道であるが、顔や体型の迫力に欠ける日本人が着用すると地味に見える側面もあるため、このような「程よい表情のあるグレー」は非常に有益。また、採用のコンフォートなシルエットはトレンド感もあり、相乗効果でより洒脱さを醸し出す……まさにベーシックながら、差をつけられる特別なグレースーツといえよう。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2019年月12号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)