人気の理由は、使い勝手の良さ
麻布テーラーのプレス担当・篠塚さんに、スーツとセットアップの現状を聞いてみた。
「まず、ビジネススタイルが細分化され、かっちりとしたスーツスタイルが必須ではなくなってきた現状があります。スーツの上着は、単品のジャケットとして使うのはNGとされていますから、スーツで買ってしまうとスーツとして上下揃えの着用が必須になります。しかし、今やお堅いイメージの金融機関でも、従業員にスーツ着用を義務付けない企業が出てきています。そうした背景もあって、セットアップやジャケット単品の需要が増えているんです」と篠塚さん。
確かにセットアップなら、上下共生地で揃えればスーツとして使えるし、ジャケット、パンツそれぞれを単品としてほかのものと組み合わせることもできて合理的だ。セットアップの上下と、別素材のパンツ1本をまとめ買いするビジネスマンが多いというのも、着回しを前提としているからこそだろう。
セットアップの実例とポイント
篠塚さんによると、セットアップが選ばれる傾向は2~3年前から顕著で、それに先立って4年ほど前からはジャージー素材が人気となっている。現在、麻布テーラーではジャージー素材のセットアップが主力商品の一つ。今回は、そんなセットアップについて実例を交えつつポイントを教えてもらった。

セットアップとスーツの違いは?
麻布テーラーのセットアップのポイントを説明してもらうと「主観的な部分もありますが」と前置きしたうえで、篠塚さんから下記のような特徴を教えてもらうことができた。
「スーツはビジネスのなかでも重要なオケージョンで着用するため、肩・胸周りの構造が非常に構築的です。着丈はヒップを隠す長さで、パンツは膝から裾にかけて適度なゆとりを持たせてクッションを作るなど、信頼や品格を表現する装いになっています。一方、セットアップはあくまで着心地や汎用性を重視。上下セットで着たときにパっと見がスーツに見える、ややカジュアルな洋服といったところでしょうか。ただし、厳密にいえばスーツもセットアップの一部という認識です」。
セットアップのマメ知識
- ジャケットは肩パットや芯材をなくし、単品で使いやすくなっている。
- ジャージー・撥水・防シワなど機能的な素材が多い。化繊使いも多いが、麻布テーラーではウール100%を実現している。
- (単品で使いやすいよう)無地が非常に多く、ベージュなどカラーで個性を出せるものも。
- 麻布テーラーでは、上下セット着用の場合、上下全体のサイズバランスよりもジャケット、スラックス単体ごとのベストサイズでのオーダーが多い。ジャケットは着丈が短めで胴回りがタイト、スラックスは股下が短めで細身のケースがよく見られる。
セットアップのメリットは?(画像5点)
着方次第ではスーツと同等の雰囲気を演出できて、プライベートシーンにも活躍するセットアップ。その使い勝手のよさがご理解いただけただろうか。軽快な雰囲気を演出したい。スーツはすでに何着も持っている。そんな方は次の一手にセットアップを選んでみると、きっとさらに装いの楽しみが増すはずだ。
掲載商品の問い合わせ:
麻布テーラープレスルーム
TEL:03-3401-5788
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撮影/李春湖(OWL COMPANY) 取材・文/川田剛史
取材協力:麻布テーラー https://www.azabutailor.com/