
珍しいものといえば、ラッパのような長い口のヤガラという魚や、エイなども食べられていて、ところ変われば品代わるという思いがした。たいていの食材は割安だったが、奮発して注文したロブスターは結構な値段で、勘定してもらったら、全体の半分くらいの値段がついていた。
翌朝は家族がまだ空が暗い5時くらいから、早くビーチに行って朝焼けを見たいというので、暗闇の中カメラを片手に出かけたら、そこには地元の人々がいっぱい集まっていた。

海に入って沐浴する人や、浜辺でダンスをするグループ、音楽にあわせて体操するグループなど、台湾などでも公園でよく見かけるような、南国の人々の暮らしぶりを反映する光景があった。
6時を過ぎて朝焼けが終わり、太陽が昇ると浜辺にいた人々のほとんどは家路につく。どうやらシャワーを浴び、着替えをして朝ごはんを食べて、多くの人は仕事に出かけたり、家事にいそしんだり、ということらしい。
海の朝焼けは美しかった。その日その日の雲の様子によっても違うだろうが、僕が過ごした5日間は、毎日異なる表情の朝焼けに出会うことができたのだった。

松山 猛 Takeshi Matsuyama
1946年京都生まれ。作家、作詞家、編集者。MEN’S EX本誌創刊以前の1980年代からスイス機械式時計のもの作りに注目し、取材、評論を続ける。