食いだおれの街で、あえて立ち飲み
所用を済まして、新しくオープンしたばかりの某ホテルにチェックイン。受付から怪しかったが、オペレーションがうまくいかず、かなりアラが目立つ。風呂場に髪の毛が6〜7本も残っているなどという致命的ミスも「すみません」のひと言で終わってしまうのには閉口。気持ちがすさんだ。
こんな時は、ビールだ。酒だ。ということで、京都の友人をわざわざ呼び出し、梅田へと繰り出した。昼に強い味のものを食べたからちょっと優しいものをと思い、阪急32番街の近くの”みす美”で、だし巻き玉子を食べようと向かった。な、なんと閉まっている。どうやら営業は昼間だけらしい。昔は夜もやっていたような記憶があったのだけどなあ……。

仕方ないので近辺をうろつくと、仕事帰りのサラリーマンで賑わう”ビンゴヤ”を発見。立ち飲み=絶対、楽しいと直感。合板のテーブルが並び、オッサンたちが憩う。仕事終わりの開放感からか声も大きく、ざわついた感じがこれまたよし。店内には酒瓶、缶詰が並び、皿に盛られた料理もある。

とりあえずビールの大瓶と魚肉ソーセージに肉だんごフライ。カウンターもあるから、ここは知っていれば、まあひとりでも入れる。適当に食べて、飲んで1500円くらいだったか。


ビールを2本飲んで、次の店へ。巻き毛のような書体の”喫茶アリサ”も気になるが、タバコの煙がすごそうでやめてしまった。友人がよく行くというホワイティうめだの中の”直福”へ。ここも普通の立ち飲みだ。

冷や奴にハムカツ、日本全国どこででも食べられるようなものをあえて注文する。それでいい。だって、気負わない立ち飲みだから。もう一軒、日本酒の揃えのいい小料理屋に顔を出そうかと思ったが、次の日は仕事もあるし、と今宵はお開きに。アラフィフのオッサンともなると守りに入る。
久しぶりの神戸はいろいろな角度から街を探訪できて楽しかった。次は六甲山からの有馬温泉かなあ。でも、やっぱり海のそばに滞在したいなあ。なにも、急ぐことはない、「また来ればいいんだ」と思いながら東京へ戻った。
取材・文/藤村 岳