師範のセミナーにも参加
色々と興味深いので、タイミングよく開催された沖縄拳法空手道の師範である山城美智先生のセミナーにも参加させてもらった。このセミナーは人気が高く、当日は100人の定員いっぱいの参加者が集まっていた。しかも、他流派の空手の選手や総合格闘家、柔術家、現役の大相撲の力士など幅広い格闘技の選手の姿も。それだけ沖縄拳法空手道の有用性が評価されているということだろう。

ここで山城先生が繰り返していたのも、骨格を揃えることと重心を揃えること。こうした体の使い方の原理を身に付けると、突きが重くなるだけでなく、投げや崩しなど様々な動きに応用できるという。実際にセミナーの中では、130kgを超える巨躯の力士を崩して見せる場面も。体格に勝る相手を崩すには、前述の体の使い方に加えて、力を抜くことが重要だという。
「自分が力を入れると相手も対抗して力を入れるので筋力の勝負になってしまいます。でも、力を抜いていると相手もつられて力が入らないんです。この辺りは人間関係と似ていますね」とは山城先生の弁。実際に崩される体験もさせてもらったが、確かに自分も力が入らずわかっていても崩されてしまう不思議な感覚だった。

セミナーに参加してみて印象的だったのは、年齢的には40代より上の男性が大部分を占めていたが、その皆さんがセミナー中も終わった後も終始笑顔でとても楽しそうだったこと。山城先生は「僕は大人のディズニーランドだと思っています」と語る。「40歳を過ぎると、体力も衰えますし、イチから人に何かを教わる機会も減ります。新しいことを体験して学んで、皆さんが明日から元気に仕事に励めるようになっていただければうれしいですね」という言葉には、この連載企画の趣旨が凝縮されているように感じた。

沖縄拳法空手道を体験して、もう1つ気付いたのは”骨格を揃えて立つ”立ち方をしていると、姿勢が良くなってくること。「筋肉がなく、骨格だけで立っているイメージで」というのは稽古中に何度も言われたが、その姿勢とはつまりどこの筋肉にも余計な負担がかかっていないということ。肩こりや腰痛は筋肉に負担がかかることで生じるものなので、この姿勢が身に付けば改善が望めるかもしれない。
とりあえず、この日以来、1日5分程度ナイハンチの型をやってみることと、パソコンを打ちながら気がついたときに”骨格で支える”姿勢を意識してみている。稽古をしているときだけでなく、普段の生活の中でも姿勢や動き方を意識できることが、一般のスポーツと違う武道の面白さなのかもしれない。
というわけで、勝手に採点!(各項目5ツ星で評価)
参加の気軽さ ☆☆☆☆★
運動強度 ☆☆☆★★
ダイエット効果 ☆☆★★★
上達の難度 ☆☆☆★★
出会える度 ☆☆☆★★
沖縄拳法空手道 沖拳会
沖縄拳法空手道 菊野稽古会
取材・文/増谷茂樹