共同経営するほどの強い信頼関係なんですね
「リヴェラーノとは本当に仕事の枠を越えて家族同様におつきあいさせていただいています。働き始めてすぐに、ユナイテッドアローズさんでトランクショーを年に3回開催することが決まり、彼とともに来日するようになりました。私だったら日本のお客様とリヴェラーノのダイレクトな意見を交換できる。外部の通訳だと、いつも一緒にいるわけではないから現場のニュアンスがわかりませんよね。私の場合は朝8時から夜7時まで一緒に過ごすので、彼が言葉で話していないニュアンスも汲み取ってご説明できるんです」。
初めてのビスポークは?
「25歳くらいですかね。最初はプレタポルテを支給してもらっていたんです。日本に行くことになり『私たちはプレタポルテを売りに行くわけじゃないから、ビスポークを作ってほしい』とお願いをしました。最初は何を言っているんだ? という反応でしたが、僕にとっては制服であり、魅力を伝える道具ですから、『当然なんじゃないの?』なんて(笑)。一番、最初に気付いたことはなんでも言えと言われていたので、なんでも正直に言いました。あまりに気付いたことを言うもので、彼も時折、困っていましたね(笑)」。
【大崎さんの思い出の1枚】(写真2枚)
ビスポークの良さは?
「初めて作ってからはずっとビスポークです。お客様優先なので、私のビスポークは後回し。いま持っているのは20着くらいですかね。それを着回しています。リヴェラーノのスーツのよさは動けることですよ。なぜ、ジャケットを着て仕事ができるんだろうと思っていたけれど、着て初めて私にもわかりました。そういうフィッティングになっているし、彼がいつも言う”ジャケットは第2の皮膚”と言う言葉に共感できました」。
新しい工房に加え、今後はMTM(メード・トゥ・メジャー/パターンオーダー的なビスポーク)の展開も予定しているという大崎さん。従来のビスポークにとどまらない、新しい取り組みを含め、これからの彼の活躍に注目していきたい。
【大崎さんをファッションチェック】(写真6枚)
※表示価格は税抜き
撮影/小澤達也(Studio Mug) 取材・文/川田剛史