米国赴任は1990年までとのことですが、その後は?
「1990年に帰国しています。今度はグッチからオファーをいただき、メンズの責任者として日本法人に入社。ちょうどトム・フォードがグッチに参加するタイミングでした。初めての外資系企業にもかかわらず、12年ほど所属しました。自社のものを着用するのが私のポリシーですから、当時はもちろん、全身グッチです。トラッドとは違って、男性のセクシーさを醸し出してくれるというのでしょうか。ボディライン、肩幅、着丈などのバランスから漂う、ヨーロッパの香りは新鮮でした」。
以降、どんなブランドに携わりましたか?
「その後、ルイ・ヴィトンで3年ほど仕事をしました。次にセオリー(リンク・セオリー・ジャパン)の副社長を1年ほど勤めた後、トッズの日本法人の社長を経て、ブルックス ブラザーズ ジャパンに2012年に入社しました。社風についていえば、ブルックス ブラザーズは老舗の余裕にあふれていました。50歳代半ばにして、自分のファッション観を育ててくれたブランドで働くことができて懐かしくもあり、うれしい。さまざまなブランドで働きましたが、ブルックス ブラザーズはとても気持ちが落ち着く会社です」
ブルックス ブラザーズの魅力を教えてください
「ボタンダウンシャツ、紺のブレザー、レジメンタルタイ、チノパン。こうしたアイテムを育ててきた歴史があるし、誰もが知っているブランドです。品格があって、政財界やセレブリティにも愛用されていていますね。アメリカ合衆国憲法の制定(1788年)後、まもなくの1818年に生まれ、アメリカとともに育ってきたブランドだけに、このヘリテージを大切にしたい」

コラム[1] 印象的な取り組みの数々
小布施さんは就任以降、次々とユニークなイベントやプロモーションを展開。「私たちの課題はブランドへの期待値を上回ること。そのためには意外性はとても重要です。伝統は継承しなくてはいけません。しかし、一方で進化していることも伝える必要があります」と小布施さんは言う。では、代表的な取り組みのいくつかをご紹介しよう。
▼京都でのイベント
2014年に京都で関係者向けに大々的なプロモーションを実施。イベントには東京からファッション誌の編集長らを招き、ブランドの魅力をアピールした。イベントでは、小布施さんのほか、本国の会長とその秘書もゲストを羽織袴で出迎え、大好評だった。
▼侍ジャパンのオフィシャルスーツ
ブルックス ブラザーズは2015年から、侍ジャパン(野球日本代表)のオフィシャルスーツパートナーを務めており、毎シーズン、スーツやシャツ、ネクタイを発表している。