ミニバンだってグイグイ走る

そのオフロード性能はデリカD:5も同様だ。グランドクリアランスについてはデリカD:5改良前モデルよりも劣るが、モーグルを走っても理想とされるライン取りを行うことで、こちらもボディをヒットさせることはなかった。今回設定されたモーグルシーンは緩やかな傾斜にあったが、意図的に上っていくルートを指定された。そう、下っていくルートならば重力を利用できる分、難易度を下げられるのだが、難易度を引き上げるルートを設定していた。
車両重量2tに届こうかという新型デリカD:5にとってはますます不利な条件だが、4WDモードにおいてロックを選択しておけば、リアへのトルク伝達を約10%増した制御によってリアから押されているような頼もしさを感じ、たとえ対角線にあたるタイヤが浮いてしまって(対角線にあたる2輪のみが接地している状況)も、制御レベルを引き上げたトラクションコントロールも相まって、クルマをグイグイと前進させていく。ステアリングを握っているとあまり感じなかったが、こうしてオフロードを走るデリカD:5の姿を見ると、あらためてそのポテンシャルに驚きを覚える。



最初に述べたように、両モデルともにヘビーデューティモデルのような走破性には届いておらず、そのためにラフロード性能といった表現に止められることもある。しかし、その走破レベルは違っていてもオフロードに足を踏み入れ、そしてクリアしていくという、このアドベンチャーに通じるわくわくさせてくれる気分は大きくは変わらない。それはSUVに期待されるプラスアルファそのものであり、三菱SUVにはそんな愉しさが強く込められている。
文/吉田直志 写真/三菱自動車 編集/iconic