前記事に続いて、散策のナビゲーターは作家・平野啓一郎さん&春香さん夫妻。日本橋が育んできた「今」を訪ねます。
江戸の城下町として栄えた日本橋。変わりゆく時代の中、伝統と革新を繰り返した街らしく、常に進化を続ける老舗がたくさんあります。そんなお店の逸品を暮らしに取り入れてみませんか。
老舗が現代の暮らしに吹き込む新たなる風

春香さん:ブラウス8万9000円、スカート4万9000円、バッグ5万9000円/以上ミラ・ショーン(コロネット)
榛原(はいばら)
気持ちを伝える伝統技術と美意識
文化3年(1806年)の創業以来、日本橋で200年以上、のれんを守る和紙舗。紙の専門店として社会情勢や流行に気を配り、時代に寄り添った紙を提案し続けています。和紙は様々な場面や用途に使用され、言葉以上に気持ちを伝える物として、その美と技術が追求されてきました。現在も昔ながらの上質な和紙を取り扱う一方、四季折々の葉書や便箋、そしてうちわなど幅広い世代に愛される商品を扱っています。
古き時代の名残りを伝える、街に今も続く老舗を訪ねて
日本橋を語る上で、外すことの出来ない”老舗”という存在。古き時代より受け継いできた伝統的な技術を活かすだけでなく、今らしさを取り入れ続けることで、多くのお店がのれんを守っています。
「時代が変わり、街並みが新しくなることで、伝統を守りながら作られた物たちにもその変化の息吹が吹き込まれたんだと感じました」と平野さんが話してくれたように、新しい時代への順応性が新たな価値観を生み出し、より精度の高い仕事がなされた品々が私たちに届けられるのです。
そんな日本橋の路地に一歩足を踏み入れると、長い歳月を経ても変わることのない風景が目に飛び込んでくるのも魅力のひとつ。旧町名などを探りつつ夫婦で江戸文化が香る新しい名品を探してみました。