グランドチェロキーの魅力は?

また今回の試乗会には特別仕様車として100台限定で発売された「グランドチェロキー・トレイルホーク」も用意されていた。クォドラドライブⅡ4x4システムやクォドラリフトエアサスペンションなどの装備を採用。トラクション性能はだけでなく、エアサスによってボディをリフトアップさせ、高い走破性を手に入れている。
ただ、グランドチェロキーは、ジープラインナップの中で唯一FCAグループになってからのモデルではなく、ダイムラークライスラー時代にメルセデス・ベンツMクラスとプラットフォームを共用していたモデルであり、最新ジープと比較するとオフロード走行における制御以外でも古さを感じるところもある。
エアサスペンションでボディをリフトさせての走行は、悪路をあくまでもクリアするための手段といった雰囲気があり、そこに楽しさはない。とは言っても、ラグジュアリィを語れるモデルながらオフロード性能もしっかりと考えられているスタンスは以前からのジープそのものであり、改めて関心を覚える。

ジープは、いつの時代も頑なであり、そして柔軟だ。2000年代に入ってからは会社の存続危機に見舞われたこともあり、SUVブームの中、ジープはどうあるべきかを躊躇していたこともあった。しかし、最新のジープは、オフロードを走れることにこだわりながらも、日常で快適に使えるというジープ像をさらに高め、新しいさまざまなバリエーションを展開し始めている。
やっぱり、ジープはオフロードを走れてこそのブランドだとつくづく思う。与えられたオフロード性能を生かして、ドライバーとともに難関をクリアすると、ジープへの愛着はさらに増していく。
文/吉田直志 写真/河野敦樹 編集/iconic