かなりのお買い得モデルかも!?

オフロードでは、ローレンジにシフトして、フロント電子制御式スウェイバーディスコネクトシステムによってスタビライザーを解除して走行する。凹凸の続くモーグルと呼ばれるシーンでは、タイヤが外れるのではないかと思えるほどにサスペンションが伸び、そしてその逆側ではボディに食い込むのではないかと思えるほどに縮ませて、タイヤを路面に接地させてトラクションを確保している。そう、いくら優れた4WDシステムがあろうともタイヤが路面に接地していなければ、そのシステムを生かすことはできないというオフロードにおける基本性能をラングラーは備え、そして、このルビコンは極めている。
もちろん、4.000のギア比のローレンジ下での走行スピードはゆっくりを超えたノロノロとした極低速となるが、それゆえにじんわりとサスペンションを伸ばし、縮ませることを可能として、そしてじわりじわりと進んでいくことで、ハードなシーンも難なくクリアしていく。
今回の試乗会では前後のデフをロックしないと走破できないハードなシーンは用意されていなかったが、ルビコンは、大きな岩にタイヤを乗せて上っていくとか、サスペンションの自在な伸び縮みによって外れそうなタイヤを路面から浮かせてしまうような極悪シーンでの走破性まで期待できる実力を持っている。

ルビコンの機能パーツ以外の装備は安全装備を含めてほぼサハラに準じているが、インテリアのレッドのアクセントカラーやシート、さらにサイドシルをガードするロックレールなどはルビコン専用となっている。このルビコン、そのアイテム、そしてオフロードパフォーマンス、さらに日常でも使えることまで含め、トピックだらけなのだが、その車両本体価格はなんと588万6000円であり、サハラの573万3720円(2.0リッターエンジンのほうが高いため、横並びにはできないが)と比較すると、リーズナブル感すらあり、ウィークポイントがないように思える。
もし、唯一ウィークポイントがあるとすると、ボンネットに貼られたデカールとゴツゴツとしたMTタイヤ以外に、オフロードパフォーマンスに長けたスペシャルなモデルであることをアピールできていないところかもしれない。ちなみに、本国仕様のルビコンはさらに大きなタイヤを標準とし、それに合わせたフェンダーラインを採用し、アグレッシブさを強くアピールしている。
文/吉田直志 写真/柳田由人 編集/iconic