ロックトラックフルタイム4×4システムの凄さ

ロックトラックフルタイム4×4システムの機能はそれだけに止まらず、なんとセンターデフはもちろんのこと、前後デフをロックさせることまで可能としている。通常ディファレンシャルギア(通称デフ)は、左右、もしくは前後のタイヤの回転差を吸収し、スムーズなコーナリングを実現させてくれるオンロードではなくてはならないシステムだが、一方で、タイヤが空転してしまうと、そちらへとトルクが逃げてしまい、接地しているタイヤにトルクが伝わらず、つまりは進むことができないという一面も合わせもっている。
タイヤを滑らせながらも前進させることが重要なオフロード走行において、その一面は、デメリットそのもの。そこで活躍するのが、LSDや、疑似的LSD効果を活用したトラクションコントロールシステムだが、LSDが穏やかな変化を提供するのに対して、このデフロックは機械的に強制的にデフをロックするため、トラクションを無理やりにタイヤへと伝え、強引にクルマを前進させていく。そのデフロックをセンターだけではなく、フロント、リアにも備えているのだから、走破性がいかに高いかは容易に想像できる。

さらに、ラングラーの走破性を大きく引き上げるアイテムがある。
オフロード性能とオンロード性能は相反するといわれるもので、それをいかにバランスさせるかに、昨今のSUVの仕立て方のポイントがあり、その加減によってそれぞれのSUVのキャラクターが作られている。たとえば、SUVに限らずオンロードのコーナリングではボディが傾かないようにサスペンションには左右のタイヤをつなぐかのようにスタビライザーと呼ばれるバネが採用され、その傾き加減をコントロールしている。
しかし、オフロードでは、サスペンションをいかに伸び縮みさせて凹凸のある路面へタイヤを接地させられるかが重要であり、このスタビライザーの機能ははっきりいって邪魔な存在となっている。そこで、ルビコンでは、オフロード走行ではスタビライザーの機能をオフ(物理的に解除)にしてしまうことができる。サスペンションの動きを制限することなくタイヤをいかに路面に接地させるか、というオフロード走行における理想をとことん追求している。

その走りは、スペシャルなアイテムを採用しているもののローレンジへとシフトさせない限りは、ほかのラングラーと大きくは変わらない。日本仕様のルビコンには、つい先日までサハラに搭載されていたV6/3.6リッターエンジンと8速ATを搭載。特別な4WDシステムを採用しながらもほかのグレードと同じく2WD、フルタイムモードを備えているため、ローレンジを活用しない限り、オンロードにおける快適性はほぼそのまま。
ただし、ルビコン専用として、ファイナルギアレシオが低められていること、さらにはブロックパターンを特徴としたマッドテレインタイプのタイヤを装着していること、さらには、サスペンションを構成するダンパーやコイルスプリングを専用品としているため、日常において、ほかのラングラーよりもオンロードにおける乗り味は少々異なる。
たとえば、乗り心地。タイヤのパターンから想像されるとおり、比較するとロードノイズは大きくなり、ゴツゴツとしたフィーリングが存在する。しかしサスペンションは、自在に動くこと、また、路面からの大きな入力に対応できるようにと、ゆとりあるサイズとフィーリングを備えており、オンロードにおける乗り心地の面では、ほかのモデルよりも快適と感じるところもある。オフロード走破性以外の日常も重視する人でも安心して選べる性能と言えるだろう。