M.E. オーダーの仕方で、昔と今と比べて何か変わったことはありますか?
鏡 昔は生地を決めてからスタイルやデザインを考えていくというプロセスが一般的でしたが、今は最初に用途や着用シーンをはっきりと定めて、それに合う生地・デザインを決めていく方が多くなってきました。
M.E. ”パーソナライズ”が今の潮流といわれますが、その人のライフスタイルに寄り添ったオーダーがこれからの王道といえるのかもしれませんね。皆さん、ありがとうございました!
After Talk
ファッションとの付き合い方はどう変わった?
M.E. ここ数十年でライフスタイル全般に関しても大きく価値観が変わったかと思います。そのあたりについてご意見はありますか?
黒部 衣食住遊のバランスを考えると、昔のほうが「衣」に関する比重が高かったように思います。DCブランドブームやバブル期におけるファッションへの熱狂は、今とは比較にならないものがありますね。
小曽根 クラシコイタリアブーム期においては、ディテールや生産背景をクオリティの基準とする価値観が浸透しました。でもここ7、8年間で、ブランドや蘊蓄に対する熱が一気に冷めた感じがありますね。
池田 廉価な量産品のレベルは随分上がってきたとはいえ、やはり本格的なものと比べると確かな品質の差があるのですが、それに注意を払う人が減ってきているのかもしれません。
M.E. お金の使い方に関しては、最近の変化などはありますでしょうか?
鏡 ”そこそこ”のものをたくさん買うのではなく、高くてもいいものが欲しいというニーズが高まっていますね。オーダーが活況なのもこういった機運によるものだと思います。
小曽根 連日飲み歩くより、家族と家で過ごしたいという人が増えているとも聞きます。”パーソナライズ”は暮らし全般の潮流なのかもしれませんね。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2019年7・8月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)