
取材当日、ショップを案内してくれたのは共同設立者のブランドン・チャウさん。風格ある佇まいだが、まだ33歳だ。「私はイギリスの学校に通っていたのですが、そこはとてもドレスコードにうるさかったのです。ネイビーのダブルスーツにウールのスラックス、白無地シャツにスクールタイといった格好をよくしていたのですが、それがきっかけでクラシックファッションへの興味を持ち始めました。あとは父親に色々なタイの結び方やラペルのデザインの違いなどを教えてもらったことも興味深かったですね。卒業後は香港に戻って、弁護士になるための勉強をしていたのですが、性格的に向いていないのではと思うようになりました。私は穏やかな質ですから、攻撃的な弁論で相手を打ち負かすことに馴染めなかったのです。それで、何か別のビジネスを立ち上げようと思い立ちました。当時からメンズウェアとシガーバーを融合させたショップを作りたいという構想があったのですが、香港の市場を見るに時期尚早と判断して、最初は別のビジネスを行っていました。しかし、4年ほど前にマリネッラの輸入を行っていたロジャー・チャンと出会って意気投合し、満を持してアタイアハウスのオープンに踏み切ったのです」。

同店のバイヤー&ブランドマネージャーを務めるのがこちらのアーノルド・ウォンさん。元アーモリーのスタッフという経歴を持ち、若くしてクラシックウェアを知り尽くした傑物だ。テーラリングだけでなくヴィンテージウェアやカメラにも造形が深く、彼独特のスタリリングで新世代のウェルドレッサーとしても注目を集めている。