
最年少で「金の鋏賞」を受賞したローマの天才サルトとは?
クラシコイタリアブームから約20年、様々なビスポークテーラーが日本に紹介され、脚光を浴びてきたが、まだまだ知る人ぞ知る大物サルトがイタリアには存在する。その一人がローマのガエタノ アロイジオだ。
1963年に生まれたガエタノは、イタリアで優れた若手サルトに贈られる権威ある賞「フォルビチ・ドーロ(金の鋏賞)」を史上最年少の22歳で受賞した天才。その記録は今なお破られていないという。しかも彼はサルトの家系に生まれたわけではなく、ゼロの状態から技を磨き、完成させたというから驚きだ。ガエタノは自らの生い立ちをこう振り返る。
「私は南イタリアのカラブリアで生まれました。幼いころからサルトの仕事にはとても興味があって、小学校の中学年くらいのときには学校が終わると近くの工房に通って、職人たちの技を見ては感動していたものです。そして16歳になった私は、本格的にサルトの道を志してミラノに出ることにしました。当地のサルトリアで4年ほど修行したのちローマへ移り、仕立て職人の養成学校に通いながらサルトリアでも技術を学びました。我ながらかなり努力していたと思いますね。それだけサルトという仕事に情熱を持っていたのです。22歳でフォルビチ・ドーロを受賞できたのもそれゆえだと思いますね。そして1991年、27歳のときに自らのサルトリアを開くことができました」。