まずは20インチランフラットタイヤを履いた750Li xDriveで試乗へと繰り出した。80psもの最高出力アップとなったV8ツインターボによる加速は、当然ながら十二分に強力だ。とはいえスーパーカーのそれのように決してスリリングな類の速さではない。重厚ながらノリの良い加速だ。静粛性が高められており、遠くで心地のいいV8サウンドが響いていた。
オプションのインテグラル・アクティヴ・ステアリングとエグゼクティヴ・ドライブ・プロという最新シャシーテクノロジーのおかげで、まるで5シリーズ以下サイズのサルーンであるかのように操れる。カーボンを取り込んだ軽量かつ強靭な”ハイブリッドボディ”の賜物でもあった。
ベースとなったポルトガルはアルガルヴェのリゾートホテルに戻ると、今回のマイチェンで注目のグレードであるPHV(プラグインハイブリッド)の745Le xDriveが待っていた。ストレート6エンジンを改良し、よりハイボルテージなバッテリーを組み合わせたことで、電動走行可能距離と総合パフォーマンスのいずれもが大幅に向上したという。

満充電で最大58キロまでフルEVとして使える。話八割としても半径20キロ程度以内の移動ならEVのまま賄えるという計算。行き先に充電器があればさらにEVでの行動範囲も広がる。

直6エンジンと電気モーターを併せたシステム馬力は394hp(スポーツモード時)で、V8を積んだ従来型750グレードに相当する性能だ。スポーツモードでは加速時に若干ショックもあったが、力強さは確かに十二分だった。間違いなく7シリーズの販売主力グレードは今後、745eになるだろう。
文/西川 淳 写真/BMWジャパン 編集/iconic