渡辺さんの思い出写真館 PART2 (写真3枚)
ビジネスは生地から製品へ
「(製品事業に)取り組んで5年ほどで、生地から完全に製品の輸入に事業が移行しました。外見の印象を優先するイタリアやフランス製品よりも、内面や生産背景といったストーリーを大切にする英国製品の価値観が当社に向いていたのだと思います」。
渡辺産業の順調な業績と同じく、製品を販売するセレクトショップもそれぞれが成長を続けていた。その反面、日本各地にインポート商品が並び、消費が成熟に向かうと、今度は各ショップが差別化を図るようになってきた。そこで渡辺さんは、新しい方針を打ち出すことに。
「長く使えて親から子に受け継ぐことができる。これがほかにはない英国ものの魅力です。英国製品に特化したほうが取引先に会社の個性を伝えやすいし、成果も出やすいと考えました。一部に英国以外の製品も取り扱っていましたので、葛藤もあったけれど、ブランドを減らしたのです」。

英国製品の魅力と強さ
日本で展開される英国ブランドは、もともと数が多くない代わりに、ブランドの数は減っていないという。東日本大震災やリーマンショック以降の不景気の時代にも、それほど渡辺産業の売り上げは落ち込まなかった。「英国物って、そういうことなのかなと思います」と渡辺さん。
次に渡辺さんが着手したのが小売事業である。従来のセレクトショップや百貨店への卸業に加えて、直営店を始めるというわけだ。
「セレクトショップが順調に成長を続けるなかで、年間売上高が500億円を超えたり、株式上場したりする企業も現れました。インポート製品はセレクトショップに必要な存在ではありますが、展開商品の比重はオリジナル製品に傾いているのが実情です」。