DS3のインテリアをチェック(写真3枚)
ただ、DS 3クロスバックを「小さな高級車」ならしめるのは、ヴィークル・ダイナミクスの視点だけではない。静的質感においても、BセグメントのクロスオーバーSUVとして抜きん出たインテリアが実現されている。試乗車のトリムは「オペラ」で温かみのあるチャコールグレー内装だったが、ナッパレザーの張られたダッシュボードやシートには、DS 7クロスバック同様のパールステッチや、ベルルッティの靴のようなパティ—ヌ仕上げが施されている。エアコンの左右吹き出し口はドアパネルに収められているのは、車内を広く見せる工夫だ。またシートについては、ウレタン緩衝材の密度を部位ごとに調整することで、包み込むような柔らかさと確たるホールド性という、矛盾する特性をさりげなく実現している。いわば日常的に接していて疲れない高級感、といえるインテリアだ。

高級車といえばおしなべて大きく、必要以上にパワフルになった昨今、DS 3クロスバックは久しく忘れられていた「小さな高級車」という、アンチテーゼを鮮やかに体現してみせた。
文/南陽一浩 写真/Thomas CORTESI / DS Automobiles 編集/アイコニック