BMW 330i Mスポーツに試乗

Mスポーツエクステリアパッケージをはじめ、19インチアロイホイールにミシュランパイロットスポーツ4S、MスポーツブレーキやMスポーツディファレンシャルなど、走りへのこだわりが随所にちりばめられた仕様であり、車高もノーマル仕様に比べて10mm下げられたから、見るからにスポーティな雰囲気を放っている。


スポーツシートに腰を落ち着けハンドルを握ってみた。太い、というか、またもや極太だ。ボクは指がちょっと短めで、この太さはしっくりこない。女性ならきっと、もっとつらいだろう。
ダッシュボードまわりの見映えはずいぶん豪華になった。パッと見はもう5シリーズよりゴージャスだ。大きなモニターとセンターコンソールまわりは新型8シリーズ以降の最新世代デザインに。見映えを重視するあまりちょっと使いづらいボタンもあったけれど、慣れれば問題ないレベルかも。
昨年末にポルトガルで初めて試乗した際には、最近のクルマにしてはアシが硬めだと感じたものだった。もう少ししなやかに動いてくれないものだろうか。そんな風に思っていた。
ところがどうだ。尖って当たるような感覚はほとんどなくなり、確かに硬めだけれど嫌にならないレベルにまで抑えこまれていた。これなら問題なく毎日乗れると思う。
硬いボディや軽いアシ回り、さらには初採用された新型ダンパーの採用が功を奏したのだろう。速度が増すにつれ、アシの動きがいっそう素晴らしくなっていく。路面からの大きめの入力はもちろんのこと、細かな凸凹もきっちりとショックを吸収し、フラットなライドフィールを保ってくれる。ステアリングホイールの操作で左右の前輪を思い通りの位置にもっていけるという感覚が常にあるから、どんな道でも安心して曲がっていけた。新型3シリーズ最大の魅力は、この思い通りになる操縦感覚にこそあったと言っていい。
もうひとつ、感動したのはストレート4エンジンのフィールだった。アクセルを踏む右アシの強さに正比例するかのようにキレイに高回転域まで吹け上がり、力感も十分、もはや4気筒のエンジンフィールだとは思えないほど。これならストレート6に必要以上にこだわることはないと思う。胸をすく加速フィールとは、このことを言う。

最後に、話題の音声認識。これがまた優れものだった。「オッケー、ビーエムダブリュー」とはっきりと言いさえすれば、ほぼほぼ受け答えできる。こちらからのリクエストが通じないときには、分からないとちゃんと言ってくれるだけでも有り難い。この手の仕組みは今後、益々重要になってくるだろう。
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文/西川 淳 写真/柳田由人 編集/iconic