
さて乗り心地は?
乗り心地もとてもいい。ミニバンらしいサスペンションのストロークを生かしたゆったりとした乗り味は、その動きを適度に規制することでじんわりとしたフィーリングとなっており、こちらも快適そのもの。それもそのはず、サスペンションはその配置や、パーツを大改良しており、こちらもまさに熟成によって得た、進化を感じた。
ワインディングでは、剛性感まで与えられたサスペンションとアッパークラスに採用されるデュアルピニオン電動パワーステアリングの採用によって、ドライバーは安心感と愉しさを感じながら、乗員は快適性を感じながら、コーナーを駆け抜けていってしまう。いうまでもなく、そこにフワフワとかヨタヨタなんてフィーリングは皆無だ。

高速走行は、新型モデルの得意とするシーンとなった。ボディ、シャシーともに剛性感がアップしたことで直進安定性を高めているが、そこに先ほど語ったゆったりとした乗り心地をバランスさせている。
そして、しっかり感にあふれたステアリングフィール、さらには上品さと扱いやすさを備えたディーゼルエンジン+8速ATによって、高速クルージングを快適なものへと引き上げてくれていた。
実用燃費については今回は計測できなかったが、燃費性能も大改良を受けたエンジンと8速ATの存在、さらにはメカニカルロスといった抵抗を感じさせない走行フィーリングから、低燃費を期待できそうだと感じた。

今回は、オンロードのみのインプレッションとなったが、オフロードについては以前お伝えしたとおり。硬派モデルのようなオフロード走破性には届かないが、たんなるラフロードに止まらず、未舗装路の上り坂、さらにそこに凹凸があろうとも、果敢に上ってしまう実力と、それを引き出しやすい操縦性は、改良前モデルに対してのアドバンテージだと言い切れるところ。
もし、改良前モデルユーザーならば新型への買い換えをお勧めしたいし、サードシートや広いラゲッジルームを求めつつフィールドへ出掛ける機会が多い人にもお勧めしたいモデルだ。
フェイスデザインが好みではない? 実のところ、僕自身もあまり好みではないが、最初に述べたように実はシンプルなライン構成から、フェイスデザインは目に馴染んでくるものだし、それよりも、大幅にブラッシュアップした走行性能の魅惑のほうが断然大きいから。
文/藤野太一 編集/iconic