
今回登場したモデルは新型を謳うだけあって、その改良内容はフルモデルチェンジレベルだ。
三菱のフロントデザインコンセプトであるダイナミックシールドをさらに進化させ、縦型のマルチLEDヘッドランプを組み合わせたフェイスは、初めて見た時には誰しもが大胆さに驚きを覚えたが、複雑に見えるデザインエレメントも、実は縦、横という、ラインをシンプルに描いており、いつしかクリーンに見えてくるから不思議だ。
ちなみにサイドデザイン、ドアなどはほぼ改良前モデルのままであり、この手法は三菱のパジェロ同様。ただし、デリカD:5がビッグマイナーチェンジだったのに対して、パジェロはフルモデルチェンジを謳っていたが……。

インテリアはラグジュアリィに
乗り込んで驚くのは、インテリアデザイン、特にインパネデザインだ。それまでのカジュアルテイストからラグジュアリィテイストへと変更された。しかし、そこに飽きが来るような華美さはなく、輸入車のような落ち着いた雰囲気が広がっている。
個人的には、木目調の加飾パネルに感心した。ラグジュアリィやスポーティを狙って採用される加飾パネルは、配置やサイズよっては、逆にチープさを感じてしまうものだが、デリカD:5はかなりの面積の加飾パネルを採用しながら、しっかりと質感を演出していた。
質感という面では、フロントシートは形状が見直されサポート感を強めながらも、フロア高があるモデルながら乗降性もしっかりと確保されており、熟成たるこだわりを感じた。

プッシュ式となったスタートボタンを押してエンジンを始動させると、ディーゼルエンジンらしいカラカラといった燃焼音が聞こえてくる。しかし、聞こえてくるといっても、かつてのヨンクやトラックのようなガラガラ音ではなく、軽さのあるカラカラとした音質であり、耳障りだとは全く感じない。静粛性と遮音性を大幅に高めており、これから述べる乗り味に実に見合ったものとなっている。
アクセルを踏み込むとストレスなくスッと前進させ、そのままにスーッとクルマを加速させていく。2.2Lディーゼルエンジンは型式こそ変わっていないが、構成パーツの約半分を新規設計とするなど大改良が行われており、そのフィーリングに上品さとパワフルさが加えられている。
さらにATは従来の6速から、新開発となる8速になったことできめ細やかなギアセレクトと上品な加速性能とを実現。どの速度域からもストレスを感じさせることなく加速しく様に気持ちよさすら感じたほど。といっても、それは、シートに身体が押し付けられるような加速感ではなく、それは大排気量のガソリンエンジンモデルに乗っているかのようなゆとりそのものだ。