小林さんの私物を拝見! PART3(画像4点)
レディスで培った独自の目利き
退社して、まず取り組んだのは得意の営業である。マロの日本法人との契約により、営業マンとして活躍。8年間、営業を続けるほか、それ以外のイタリアンブランドの仕入れなども行い、海外メーカーとの直接取引のノウハウも身につけることができた。
満を持してトレメッツォを設立したのは2005年のこと。最初に手掛けたブランドはシャツで知られるバグッタだ。ほどなくしてPT01、タリアトーレを日本で展開し、大成功を収めたのは読者のみなさんもご存じの通りである。成功の秘訣を小林さんに聞いてみた。
「大学を卒業してから30年弱の間、レディスしか扱ってこなかったからです。周囲からも『レディスを手掛けていたからだよね』と言われますよ。当初、日本でPT01に注目している人はいませんでした。知らないブランドを導入するまでもなく、すでに成功しているパンツブランドがあるのだから、誰も目を向けないわけです。でも、僕はそんな先入観を持っていなかった」。
クラシコイタリアのブームを知る業界関係者は、大なり小なり、ディテールや製法へのこだわりの呪縛から抜けきれないところがある。ところがディテールよりも感性が重視されるレディスでは、脇の縫い方の仕様や、手縫いといったことよりも、シルエットが美しく見えることを最優先する。小林さんは、その点で他の人とは着眼点が違ったというわけだ。
