【ファッション履歴書】トレメッツォ代表 小林 裕さんの場合

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小林さんの私物を拝見! PART2(画像3点)



気の進まないブランドの営業担当に……

アルファキュービックに入社した小林さんは、最初の1年半は倉庫係で、そのあとパリのデザイナーズブランド、アンヌマリー・ベレッタの営業を命じられた。アンヌマリー・ベレッタはマックスマーラのデザインを手がけていた実力派ではあったが、個性が強すぎて、売れ行きはいまひとつ。

「当時、アルファキュービックの王道はやはりサンローランでした。アンヌマリー・ベレッタの営業になったとき、本心ではまったく気が進みませんでした。素晴らしいブランドだけれどまったく売れなくて」。

逆境のなか、社用車で地道に営業を続ける毎日が続く。すると、半年ほどで成果が見え始めた。とにかく足しげく得意先を回っているうちに、商品を仕入れてもらえるようになったのだ。今と違い、この時代の営業は、商品を詰めた段ボール箱を持って得意先へ行き、広げて見せて紹介するというもの。お店にゆとりがない場合は道端や駐車場で広げるなんてことも当たり前である。

「お見せするときに、できるだけ見やすく丁寧に並べるようにと、徹底的に仕込まれていました。いつも顔を出すことで、得意先から可愛がられるようになると、営業も楽しくなってくるんですね」。

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成績優秀だった営業マン時代

納めた商品が売れ残り、返品されてきても、会社に言い出せず、返品伝票をため込む営業マンがいる一方、小林さんは次々と売り上げを達成することができた。月初めに、すでに売り上げ目標の80%分の伝票を提出するほどの好調ぶりから社内での評価は高まるばかり。

20歳代で営業車としてメルセデスのゲレンデヴァーゲンを買ってもらえたというのだから、その営業力は目覚ましいものであったに違いない。29歳でMD(マーチャンダイザー)を命じられ、ついで31歳で事業部長に。この時代、イタリアのメーカーで製品づくりを始めたことが、いまの仕事につながる転機でもあった。当時、マロ、ギ ローバー、パンツ専業メーカーなどイタリアの会社と取り組んでオリジナル製品の開発を行なっていたのだ。

34歳のときには14ほどあったブランドの全企画の責任者を任され、いつしか先輩だった人たちも部下になっていた。「僕は生意気だったから」と小林さんは笑う。アルファキュービック時代に、たびたび先輩からにらまれたことや、社長から怒られたこともあった。が、話を聞くと、小林さんの言う「生意気」とは、「態度が悪い」の意味ではない。目上の人にも、自分が正しいと思ったことは、ハッキリと物申す性格であっただけなのだ。

そして、41歳の時に小林さんはアルファキュービックを退社し、独立する道を選んだ。

20年以上愛用のマリタリアーティのバッグ。驚きの機能性を次の画像で確認してほしい。

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マリタリアーティのバッグを真上から見たところ。ボストンバッグのようでありながら、大きく開口するので箱のように使えるのだ。

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マリタリアーティのバッグ。大きく開いた上面はレザーのカバーで覆うことができるスグレモノだ。

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35年前に購入したロセッティのブーツ。「この1、2年は、履く機会が多いですね」。

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「今では、こんな斑(ふ=うろこの模様)が、なかなかないんですよ」というクロコの名刺入れ。35年愛用の名品だ。

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セリーヌのクラッチバッグ。3つの薄いクラッチが、スナップボタンで着脱可能なのでシーンに応じて、必要な数だけ使うことができる。

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5〜6年前に購入したフェンディのミニクラッチ。シボやステッチが特徴的で、レザーの肌触りも抜群によい。

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約40年前にヴェルサーチェがデビューした時代のクラッチバッグ。とても高価だったが、あまりに好みだったので思い切って購入してしまったそうだ。

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マロの創業者であるアルフレッド・カネッサさんが、自身の名を冠したブランドのカシミアのベスト。繊細な色遣いに注目したい。

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柄の緻密さが見事な、エミスフェールのシルクスカーフ。35年間、愛用の一品である。

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2025

VOL.345

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