自然や文化、人への敬意が美しきクリエーションを生む

創業者のブルネロ・クチネリ氏は、1953年にペルージャ近郊の農家の生まれ。測量技師の資格を取得し工学部へ進むも中退。そして彼が’78年に立ち上げた小さなアパレル会社が、ブランドの原点だ。彼が目をつけたのは、現在もコレクションの核をなし、今なお買い付けのために自ら原産地まで赴くというカシミア。当時のカシミア製品は色数が少なく、美しい色合いのそれを作れば、必ず売れると見たのだ。かくして氏は、若くして大きな成功を遂げる。そして拡大する事業に対応すべく本社を移転した先が、その後のアイデンティティに多大な影響を及ぼすこととなるペルージャ近郊の小村「ソロメオ」であった。
同地を創造や生産の拠点とした彼、その美しい自然や歴史、芸術に触れるにつれ整備や保存事業にも積極的に関わるように。なおブルネロ クチネリの服は色の美しさで有名だが、これはソロメオの自然に想を得たもの。2018年に発足したメイド トゥ メジャーライン、「サルトリア・ソロメオ」には同地の名前を冠した。寛ぎと品格を併せ持つ、ブルネロ クチネリのクロージング。それはソロメオの風景のように悠久の価値を帯びる。
ソロメオ村の人々は”ファミリー”
’85年の本社移転時より、ソロメオ村の整備・保存事業に参画。歴史的建造物を修復するとともに、職人学校や劇場の設立など、多くの文化的事業を推進してきた。また地元住民も積極的に雇用し、地域に根差した経営を続けている。