英国風のディテールで遊ぶ
齋藤「元々、スラントポケットは乗馬の際、ポケットに手を入れやすくするための仕様。また、傾斜したラインがフロントボタンの方向に向かうことでドレッシーにも見えます」
と、聞いた長谷川さんはスラントポケットを選択し、カジュアルなチェンジポケットはなしに決まった。
一着のジャケットでも英国気分を演出するディテールはまだまだある。次は裏地。無地のカラーバリエーションはもちろんのこと、ストライプ、ドット、豪華なプリントなど、裏地の充実ぶりには驚かされる。
齋藤「英国だと外見はコンサバなのに、裏地がクレイジーなパターンなんてことがあります。ロックや、パンクな精神をどこかに表現するというのでしょうか。元々、自分の気持ちを積極的に外見で表現するラテン気質とは異なります」
長谷川「じゃあ、肉厚な生地の総裏で、色はゴールドに!」
と、言ったものの、次々に出てくる生地見本を前にすると、長谷川さんがついつい目移りしてしまうのも当然だろう。最終的に決め手となったのは、なんとシューズとの色合わせ。この日、長谷川さんが履いていたのはジョンロブのオーダーメイドで、ライニングがロイヤルブルーなのだ。最終的に、今回はシューズと同じく、裏地をロイヤルブルーにすることになった。

さて、こうして注文されたオーダーが、どんな風に仕上がるのかは、ぜひ後編でお確かめあれ!
遊び心にあふれた齋藤服飾研究所(写真6枚)
今回のオーダーメイドのディテールをご紹介
・シングルジャケット
・1ボタンでボタン位置は低め
・ラペルは太目でゴージ位置は高い
・生地はハリスツイードの黒無地
・サイドベンツ
・スラントポケット(チェンジポケットはなし)
・袖ボタンは4個(ボタンは重ねず、並べて配置)
・胸ポケットは箱型
・着丈は標準より2cm長めに
・内ポケットは左右一か所ずつ(フラップはなし)
・ホーン(水牛)ボタン
・裏地は無地のロイヤルブルー
齋藤服飾研究所
住所:東京都台東区浅草橋4-5-4 斉丸浅草橋ビル5F
※完全予約制 予約はメールにて 連絡先info@hideakisaito.tokyo
http://hideakisaito.tokyo
オーダー詳細は以下の通り
パターンオーダー/納期1か月半〜2か月、仮縫い1回、価格19万円〜(税抜き)。フルオーダー/納期4か月半〜、仮縫い2回、価格46万円〜(税抜き)。パーソナルスタイリングの料金は相談により異なるので要相談。
撮影/小澤達也(Studio Mug) 取材・文/川田剛史