英国らしさのポイントは?
長谷川「前肩なので……」
齋藤「どちらかというと、肩をいせ込んで、パッドを入れる英国調のスタイルは似合わない体型です。背中の補正を多くして、前身頃の幅を狭くしないと生地が余ってフロントに突き皺が出ます。でも似合うようにできますのでご安心を」
そんなやりとりのなか、キーとなったのがフロントのボタン位置だ。齋藤さんによれば、パンツのウエスト位置が一番シェイプしていて、そのポイントの包み方が英国とイタリアの違いだという。

齋藤「イタリアンはお腹周りを隠して、サラリと着流します。一方、英国はコーラのボトルのようにしっかりと胸周りを強調してウエストを絞る。つまり、イングリッシュドレープをいつまでも着ていたいなら、節制しなくてはいけないわけです。僕もオフは肩を作りこんでいないものをサラっと着るのが好き。でも英国風で、いつも身体を鍛えているとアピールするのもいい」。
今回、長谷川さんが選んだ生地は、黒一色のハリスツイード。ブーツやスキニージーンズのほか、最近ロンドンで買ったというハットにも合わせたいそうだ。
長谷川「真っ黒って、あまり英国のジャケットでは使わない色ですよね」
齋藤「そうですね。通常、黒はネップの入った素材になることが多いし、真っ黒だとカシミヤなどになりますから」。