エトロの志向、世界に向けた色彩の提言
濃厚な”らしさ”の中へ常に新鮮な驚きを込める
エトロは1968年、インドのカシミールショールに魅せられたジンモ・エトロ氏によって設立された。カシミール紋様はすなわちペイズリー柄の原型をなすもの。彼は歴史の中で姿を消したかつての紋様を、現代的な感性と手法で蘇らせたのだ。テキスタイルで始まったビジネスは、やがて革小物やフレグランス等へ広がり、1996年にウィメンズコレクション、翌年にメンズコレクションを発表し、現在に至る。
クリエーションの中核をなすのは、カシミール紋様=ペイズリー柄だ。元来この柄はメソポタミアに端を発し、生命の樹と呼ばれるナツメヤシの実を抽象化した紋様。エトロは150点にも及ぶ19世紀のカシミールショールを所蔵し、アンティークの色柄を創造の糧としているという。時にポップに、時にシックに。色柄を分解して再構築したり、別の柄と重ねたり。ペイズリー柄の表現は、毎季インスピレーションの源としている世界の民族文化と相まって、無限の広がりを見せる。見たことのない色彩が、とめどなく生み出されるのだ。
だからエトロの服には、エトロらしさが滲みながら、いつだって新鮮な驚きがある。世界に向けた色彩の提言に、終わりはない。