
英国研修の狙いは?
「今回はエドワード グリーンと、トリッカーズの工場に行ってきました。前者の工場では女性と男性の作業が完全に分業されていました。靴の中のモデル名を書くのは女性、力仕事は男性といった分業です。生産現場は工業製品のように、ライン化されています。一方、通常の製造ラインのほかに、ドーバーなど、スキンステッチを要する特別なモデルだけを手掛ける部屋もあり、そちらでは、昔ながらの靴づくりの雰囲気も感じられました」


長谷川さんが見学に出かけた一番の目的は、トゥやかかとの焦がし処理(一部を特に濃くする色付け)の技術を解明することにあった。実際に目にしたのは黒に近いこげ茶を塗って、馬の毛のブラシでバフがけをするという仕上げの技。自身の予想が正しかったと裏付けられたことも、研修の収穫だったそうだ。
また、製造過程を知り、リペア技術に生かしたいとの思いも長谷川さんにはあったという。「どのように靴ができるのかを知らなければ、正しく修理はできません。そのために、製造過程を知りたかったのです」