「ブラックタイ=タキシードSTYLE」なときの洒脱な装いをプロが指南
格式高いシーンにはブラックタイ、つまりタキシードで臨むのが礼儀であり最高のお洒落だ。品格ある色気で非日常を楽しむための装い方を、知識とスタイルに一家言ある2人のプロに訊いた。

《左》麻布テーラー販売部 東日本第二次長 佐藤公志さん
濃紺スーツに黒の蝶タイスタイルでご登場。仕事終わりにドレスコードのないちょっとしたパーティに出席するならこんな装いも◎。フォーマルスペシャリスト検定1級の持ち主。
《右》スタイリスト 四方章敬さん
多数のメンズファッション誌のスタイリングを手掛ける実力派。今特集のスタイリングもすべて担当する。大人の、節度をわきまえつつ華やぎのあるスタイルを叶えてくれた。
基本を知ったうえで遊ぶことがフォーマルでは大事
マナーとセンスを両立させた装い、まさに、総合力が試される
M.E. 最近はビジネス同様、フォーマルスタイルのルールやドレスコードもそれほど厳格でなくなってきているようです。
四方 確かにそうかも知れません。タキシードの正しい着こなしを理解したうえで、タキシードを休日のジャケット代わりに楽しんだり、自由な週末着として楽しんでいる方が増えているように思います。
佐藤 タキシードを含め、男のフォーマルはもともと、パートナーの女性の美しさを引き立てられるよう、さりげない着こなしが求められてきました。過度な装飾は控え、原則に従った装いが大事です。
四方 海外ブランドの多くが、シーズンに一着はタキシードの新作をリリースしています。そのくらいタキシードは海外では大事にされている衣装なのです。
M.E. なるほど。確かに、場の格式や出席者の顔ぶれなどに合わせて幅広い装いを楽しんでいる海外セレブのスナップなどを目にする機会も多くなりました。
佐藤 そうですね。黒が基本ですが、ネイビーやパープル、グリーンなど、色や素材のバリエーションも増えています。
四方 写真のようなパープルなどは、高貴な色ですし、ミドルエイジにこそ、似合う色だと思います。素材もこの時季ならではのベルベット。色や素材で遊んだぶん、コーディネートはシンプルに。インナーをワントーンで揃えて、余計な装飾を加えないことがポイントです。
M.E. ベーシックなタキシードジャケットで着回しを楽しむこともできますか?
佐藤 もちろんです。例えばインナーをクレリックシャツに替える。英国のチャールズ皇太子もフォーマルでクレリックシャツを着用するくらい、知的かつ気品に溢れる装いが楽しめます。よりパーティ気分を盛り上げるなら、デニム地のウイングカラーシャツに柄ボウタイを。程よい抜けのある今どきの装いになります。
四方 タートルニットを合わせても洒脱。気のおけない仲間とのパーティならば、ウイングカラーのイカ胸シャツより遥かに互いの距離は近くなりますからね。