
吸い付くような着心地も堪らない
適度な厚みがありつつも、ふんわりとソフトなウールを用いたジャケット。肩に吸い付くようなフィット感で、重さを感じさせない着用感が心地いい。ブラウンを効かせたグレンチェックはともすると田舎紳士的に見えてしまうが、こちらは至極モダンな顔つきだ。13万3000円

デ ペトリロ当主
ベネデット・デ・ペトリロさん
「ナポリ仕立ても英国テイストも誇張しすぎないのが美学です」
2009年にスタートしたデ ペトリロは、40年以上ナポリのサルトリアで研鑽を積んできたペトリロ氏が満を持して立ち上げた超実力派ブランドだ。が、他ブランドとの最大の違いは、氏の柔軟な姿勢とモダンな感性にある。
「ナポリ伝統の仕立てをベースとしていますが、私が目指すのはもっと都会的で、世界に通用するスタイルです。そのために、これ見よがしな意匠はあえて排して、ミニマルに、コンテンポラリーに仕立てることを意識しています」。服作りの哲学について、ペトリロ氏はこのように語る。
「また、型紙や芯地も毎年少しずつ進化させています。日本人はイタリア人とは体型が違いますので、バイヤーの意見もよく聞いて、改良に努めていますよ」。良くも悪くも唯我独尊なテーラーが多いナポリでは異例といえる姿勢だ。
この柔軟さと真摯さゆえ、時代性の取り入れ方も実に巧み。英国調が一大潮流である今季は、デ ペトリロもブリティッシュを柱に据えている。が、決して仰々しくなく、穏やかな柄をセレクトしているあたりがなんとも上品だ。英国柄の端正さを活かしつつ、ナポリ流に柔らかく仕立てる。かつ、コッテリした装飾性を省き、ミニマルに仕上げているのが絶妙だ。
「私たちは必要以上の主張はしません。でも、着る人のエレガンスを自然に引き立てることは強く意識しています。私たちがそこにどれだけ心を砕いているかは、着て頂ければきっとわかるはずです」とペトリロ氏は胸を張る。凛々しさ・柔和・洗練の最も好ましいバランスと、それが生む好印象。この”最好”なバランスこそ、デ ペトリロの真骨頂なのだ。
デ ペトリロの商品のお問い合わせ先
ビームス 六本木ヒルズ TEL:03-5775-1623
アイネックス TEL:03-5728-1190
撮影/鈴木泰之、中西一朗 スタイリング/四方章敬 ヘアメイク/TOYO(bello) 構成・文/小曽根広光 撮影協力/プロップス ナウ