ベルルッティの志向、受け継がれる品格の歴史
技術に裏打ちされた、比類なき芸術性
イタリア出身のアレッサンドロ・ベルルッティ氏が1895年、極めてミニマルでエレガントな一枚革の靴「アレッサンドロ」を作ったのが物語の始まり。パリの上流階級に愛され、家族経営のもと発展を続けたベルルッティはやがて、希代の洒落者ウィンザー公爵をはじめ、世界中のセレブに指名される存在に。
創業者以来の芸術性を、さらなる高みへと押し上げたのは4代目当主、マダム・オルガことオルガ・ベルルッティ氏。革を精油や天然染料、様々な色合いのワックスによって染色する独自の技法「パティーヌ」も、彼女が生み出した”発明”の1つである。
ブランドに一大転機が訪れたのは、2011年。トータルメゾンへの変革だ。舵取りを任されたのは、奇才アレッサンドロ・サルトリ氏。パリ老舗「アルニス」とのタッグによる、クラシックかつ鮮烈なクロージングが賞賛を浴びたのは記憶に新しい。
本年4月にはクリス・ヴァン・アッシュ氏がクリエイティブディレクターに就任。洗練、モダンという表現が似合う彼の作風が、どんな化学反応をもたらすのか。大いなる期待をもってコレクションを待とうではないか。