様々な人生経験を積み、多くの服に袖を通してきた男が「嗜好」する服やモノとは、何だろうか。身に纏い同じ時を過ごすことで、そこに何を「思考」するのだろうか。王道の男が「シコウ」する本物に迫る。
ベルルッティで嗜好する本物とは—
革を優雅に纏うということ
彫刻的であり有機的でもあるフォルムに、どこまでも奥深いパティーヌの表情。そして予定調和を打ち破る、驚きのデザイン。ベルルッティの靴を履いて得られる感動はまさに優れた芸術品を前にしたそれと同種だ。
創業者の名を冠したホールカットの代表作「アレッサンドロ」は、装飾を削ぎに削いだデザイン。幾重にも色を重ねたパティーヌの美を、最もピュアに味わえる靴だ。ローファー「アンディ」は、アンディ・ウォーホルのために作られた靴で、その鋭角的なフォルムの斬新さに目を奪われる。ただ、独創的でありながら決して奇抜ではない。卓越の美意識と職人性が織りなす優雅な佇まいこそ、ベルルッティの真骨頂なのだ。
端正な装いへ深みを与えるパティーヌの優美
アレッサンドロ

極めてミニマルな3アイレットのホールカットデザインを特徴とする「アレッサンドロ」は、ベルルッティの優美を象徴するモデル。パティーヌの奥深い色合いが、端正なスーツの装いへ、そっと洒脱のエスプリを添える。

黒であって黒ではないその表情に引き込まれる
アレッサンドロ / ALESSANDRO
王道「デムジュール」木型を使用した、端正なスクエアトウの一足。色はネロ。パティーヌによって表現されると、黒は黒でも奥行きがまるで異なる。
“スクリット”はブランドのアイコン
同じアレッサンドロでも木型が違えば表情も変わる

18世紀の手書き文書にインスピレーションを得て生まれた”スクリット”模様。これを大胆にもアッパーへ施した一足は、「ガレ」木型の曲線美にも目を奪われる。26万6000円(ベルルッティ・インフォメーション・デスク)