
スーツのグローバル化が進む今、既製服においては地域差が少なくなっているが、サルトの服はその個性を色濃く残している。各国の魅力をここで再確認してみよう。
(左)ニッポンの精緻を愛でる
RING JACKET MEISTER 206 / リングヂャケットマイスター 206

首に吸い付く上襟
リングは世界で最もビスポークに肉薄する仕立てを行うブランドのひとつ。それを可能にしたのは、日本人ならではの研究心と精緻な職人技だ。「マイスター206」ラインは上襟に生地を被せた後にアイロンで成形する、既製服ではまず行われない仕立てを採用している。首に吸い付く着心地は、まさにサルトのそれだ。
(中)イギリスの構築美を愛でる
FUMIYA HIRANO / フミヤ ヒラノ

男らしい太め袖
ヘンリー・プールに学び、独立後もロンドンにアトリエを構えるフミヤ ヒラノは、日本人ながら英国ビスポークの趣たっぷりなスーツを仕立てる。高めに設計された小さなアームホール、胸回りからウエストにかけてのイングリッシュドレープに注目。袖先をあまりシェイプせず、袖を男らしく仕上げるのもイギリス仕立てならではの美学だ。
(右)フィレンツェの丸みを愛でる
LIVERANO & LIVERANO / リヴェラーノ&リヴェラーノ

ダーツを省いた前身
フィレンツェを代表するサルトの一角であるリヴェラーノは、ナポリとは違う作風を楽しむのに絶好だ。その最大の魅力はスーツ全体に漂う”丸み”。身頃のフロントダーツを省略した仕立てをはじめ、肩幅を広くとってなで肩ぎみにする仕立てやラペルの形状など、独特な柔和さがあるのが面白い。ダブルスーツでも威圧感がなく、軽快な表情だ。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2018年10月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)