
金森 目を引くのは中央(上写真)。旬の英国調の柄使いは艶やかですね。右(上写真)は逆にシンプル。でも、紺無地スーツに白シャツで、正統なきちんと感があります。
森岡 中央は、「お洒落」を楽しんでいる格好。職場次第ですが、仕事で初対面の人と会うときに相手が着ていたら、浮ついた印象を持つかもしれません。その人よりも服装に注意が奪われてしまう。中央と右、シリアスな話をするときに、どちらが受け入れられるかは言わずともわかりますよね。
金森 はい。そして左(上写真)はとてもバランスがいい! 一見無地に見えますが、近づくとうっすらチェック。しかも、柄の色がタイの色とリンクしている。これこそセンスのよさを感じます。酸いも甘いも知る男の余裕というか、いろんな装いを知っていて、ビジネスの経験値も高くて、どの加減がちょうどいいかをわかる人の装いです。
森岡 つまり、まわりが見えていて、何が「巧さ」になるかがわかる人としての奥行き、というところでしょうか。まさに「上司」的なイメージです。
金森 3体とも基本のネイビーやグレーなのに、その印象や人物像は全く違います。それぞれに異なる意思を持つ。
森岡 こういうちょっとしたことを計算できるような、色柄使いやシルエット、選びの奥義など、上司と部下それぞれに向けてのポイントを解説していければいいなと思います。お洒落好きな人にはつまらない企画かもしれない。
金森 いえ、これこそ奥深いビジネス服の話。楽しみにしています!
話したのはこの2人

ファッションディレクター 森岡 弘さん
弊誌のビジネススタイルのご意見番。雑誌や広告のほか、政財界人のパーソナルスタイリングも手掛ける。
MEN’S EX 編集長 金森 陽
2017年10月より現職。編集長になって週4〜5スーツの生活に。シーンにあったスーツの必要性を実感中。
中:スーツ13万円/ブリッラ ぺル イル グスト、シャツ2万9000円/バグッタ、タイ1万6000円/フランコ バッシ、チーフ6800円/エレディキャリーニ(以上ビームス ハウス 丸の内)
左:スーツ13万円、シャツ1万3000円、ネクタイ1万2000円、チーフ5000円/以上ブルックス ブラザーズ(ブルックス ブラザーズジャパン)
[MEN’S EX 2018年10月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)