不要な回り道をせずに”上質”に辿りつきたい人のために、服飾界の目利きたちが頻繁に使う専門用語を解説。これらを覚えれば、今まで以上に高いレベルでモノの吟味ができるようになるだろう。
【ま〜も】
前肩 製法
一般的な日本人は、欧米人に比べて肩が前に出ている。そのため海外の安価な既製ジャケットを羽織ると、肩がうまくフィットしないことも。前肩のジャケットとは、この日本人体型に合わせて背幅側を広く取ったパターンを採用したものだ。
マザーオブパール 素材
真珠を産む母貝のこと。白蝶貝、黒蝶貝、茶蝶貝、あこや貝、淡水真珠貝、コンク貝などさまざまな種類があり、それら貝殻の内側の真珠層が高級なシャツやジャケットのボタンによく使われる。MOPと表記されることも多い。
マニカ マッピーナ 製法

ジャケットの袖山にギャザーがある”雨降り袖”の意匠のこと。ナポリ由来の意匠で、ハンド仕立ての温もりや生地のドレープを感じさせる華やかな装飾的意匠。シャツの袖付け法をジャケットに施す手法のマニカ カミーチャと混同される。
【や〜よ】
矢筈仕上げ 製法

靴の本底のコバを三角形の尖った形に仕上げ、本底を華奢でエレガントに見せる手法だ。ビスポーク靴や三陽山長のドレス靴などに見受けられる。ちなみに矢筈(やはず)とは、弓矢の矢の後端、弦に引っ掛ける部分のV字型のくぼみ。
【ら】
ラマ 獣毛
南米アンデス地方に生息するラクダ科の動物。全身が毛で覆われている。近縁の動物にアルパカ、ビキューナ、グアナコがおり、保温性が高くアルパカのようなこしのある肌触り。
リモンタナイロン 素材
伊のリモンタ社が手掛ける高密度ナイロンの総称。軽量でしなやかなのに強靭、そして光沢性や発色性にも抜群に優れることからハイブランドも御用達にしている高級素材だ。さまざまな種類がある。
ロイヤルアイリッシュポプリン 生地

縦に畝のある平織り生地をポプリンと呼ぶが、とくに英国王室御用達のタイ生地メーカー、アトキンソン社が手掛けたものをこう呼ぶ。経糸に先染めシルク、緯糸に梳毛メリノを用い、締め心地も格別。写真のネクタイはスタイリスト私物。
【わ】
ワンギー 素材

竹の根元に近い丈夫な部分のことで、節の美しさや手馴染みの良さから、ステッキや傘のハンドルに昔からよく使われてきた。クラシックなスーツと相性抜群だ。
※表示価格は税抜き
[MEN’S EX 2018年9月号の記事を再構成](スタッフクレジットは本誌に記載)