「手間のかかることをあえてやる。そのために時間を作るって素敵だと思います」

「10年後、20年後にこの時計を着ける自分はどうなっているか?
時計は、そんなストーリーを生み出す道具でもあります」
いま、撮影の現場はデジタル化が進み、圧倒的なスピード感で仕事が進む。その醍醐味も気に入っている。でもだからこそ、プライベートではまったく対照的な時間を大切にすると長山さんはいう。
「手間がかかることを、あえてやる。革靴を磨くことや、手巻きの時計もそう。それには時間を作らなければならないけれど、それが素敵だと思うんです。昨年からシガーを始めました。煙草も吸っていますが、どちらかというと煙草は時間を潰すためなのに対し、シガーは時間を作らないと楽しめない。自分の中で時間の区切りを作ることを覚えました」
充実した時間は、好奇心をさらに広げ、それはライフスタイルにも好影響をもたらした。
「どうせシガーを吸うなら、いいウイスキーが飲めるバーに行こうとか、いいジャズを聴こうとか。それならレコードが良いかなとか。しまいにはいまアトリエを趣味の部屋に改装中です。自宅を職住一体にして、アトリエを隠れ家にする。ここでは現実の時間から離れ、むしろ時間を気にせず、アナログ的な世界に浸れます」
手にした「モンブラン1858 オートマティック クロノグラフ」は、まずその書体に惹かれた。
「歴史を感じますね。カメラも同じで、ハッセルやライカのように何十年も前に誕生したモデルがアップデートされ、いまの形として存在するような継承のロマンがあると使いたくなります。この時計も同様に、過去の物語があれば、未来を見据えるロマンもある。10年後や20年後これを着けている自分が何をしているのか。そんな自分自身のストーリーを生み出す道具になると思います。それもひとつの旅であり、冒険。世代を超えて未来を想像できることは素敵ですね」
MONTBLANC 1858 Automatic Chronograph
モンブラン1858 オートマティック クロノグラフ
モンブランのヴィルレ工房は、160年の歴史を誇るクロノグラフの名門マニュファクチュール「ミネルバ」の直系であり、クロノグラフの2カウンターとクラシカルなプッシャーに伝統のスタイルを受け継ぐ。サンレイ仕上げのスモークドシャンパンカラー文字盤と、ブロンズのケースカラーもミネルバの歴史的クロノグラフに準ずる。自動巻。ブロンズ合金ケース。エイジドカーフスキンストラップ。径42mm。56万5000円 >>モンブラン公式サイトで見る
こだわりのDETAIL CHECK!(写真5枚)
VARIATION(写真2枚)

ミネルバの歴史は160年前、スイスのサン=タミエール峡谷にシャルル=イヴァン・ロベールが起した時計工房から始まった。精密な計時機構で世界にその名を知らしめ、モノプッシャークロノグラフやV字型ブリッジなど、多くの名作やエポックメイキングな技術を生んだ。1920〜30年代には軍隊や冒険登山に用いられ、その活動を支えた。
長山一樹 Kazuki Nagayama
1982年生まれ。2004年〜守本勝英氏に師事した後、2007年に独立、s-14に所属。数多くの広告・雑誌・メディアでフォトグラファーとして活躍。ハッセルブラッドを愛用し、2018年よりハッセルブラッド・ジャパンのローカルアンバサダーに就任。最近はスーツにハマり、撮影時にもスーツにハットにサスペンダーに革靴というスタイルがトレードマークに。2018年4月、渋谷ヒカリエにて初の個展となる「ON THE CORNER NYC」を開催。1億画素の性能を生かし、時を違えて居合わせた人々を1つの写真に閉じ込める合成技法が話題を呼んだ。現在その回顧展を、現在ハッセルブラッド・東京にて開催中。9月10日まで。Instagram:kazuki_nagayama
お問い合わせ先
モンブラン コンタクトセンター TEL:0120-39-4810
モンブラン公式サイト
撮影/長山一樹(s-14)、岸田克法〈静物〉 文/柴田 充 撮影協力/京王プラザホテル