
生地を「タグの知名度」よりも”質”で見極めることができたなら、服選びはもっと楽しくなる——。生地の個性からスタイルを導く新発想で、自分に本当に合う”ネクスタイル”、探しませんか。
「世界有数の、細い羊毛」が生む上質
シック好きも虜にするその”仕立で映え”
繊維の宝石と称されるカシミヤを凌ぐスペックを誇るウールが「エスコリアルウール」だ。原毛の細さは約13マイクロン。一般的なカシミヤが14マイクロンほどであることを考えれば、それがどれほど繊細なものであるかがわかるだろう。
肌触りはカシミヤ同様、極めてなめらか。加えて繊維の一本一本がバネのようにカールするウールの特性から独特の弾力を備え、ジャケットやコートのシルエットを立体的に、美しく浮かびあがらせる。一目でわかるラグジュアリーな雰囲気とともに、玄人も頷く硬派な魅力をもつ素材なのだ。
原毛はメリノ種の半分ほどの体格の、カシミヤ山羊よりも希少な羊種から採取。16世紀にスペイン王室が「エスコリアル」修道院で飼育していたのが名前の由来で、王室の没落とともに一時は絶滅したかと思われた。それが19世紀になり純血種が発見・保護され、現在に至っているという。そんなドラマチックな物語もまた、特別な生地に相応しいではないか。
ESCORIAL(エスコリアル)のエスコリアルウール

希少種の羊から採れる極細原毛を用いたウール生地
メリノ種の羊よりも体格の小さいミニチュアシープより採取される、径13マイクロンという極細原毛を使用したウール生地。カシミヤを思わせるなめらかさと、ふっくらした弾力を備える。写真の生地はクリアな梳毛仕立てにしたもので、気品溢れるドレープが魅力だ。

COMPANY PROFILE
ブランドの母体は、ジョン フォスター、ウィリアムハルステッド、リード&テイラーなどの英国の名門ミルを束ねるグループ企業「ラグジュアリー ファブリクス」社。英国生地の多様な魅力を、世界中に発信している。
一度袖を通すと、忘れられないしなやかさ

カシミヤ調の風合いと独特の弾力を併せもつ
ビーバーのように毛足が長いこの生地の肌触りは、まさしくカシミヤを思わせるもの。その一方で強くカールしたウールの特性から、生地はカシミヤよりも強い弾力を備えている。タッチの細やかさがありながら、シルエットは構築的に、美しく浮かびあがるのだ。
美しさの理由


極めて良質な原毛を用い英国の実力あるミルが織る
メリノ種の約半分の大きさまでしか成長せず、原毛の量も3分の1程度しか採れない希少種から原毛を採取する。径13マイクロンほどの極めて細く、良質な原毛が生地のなめらかなタッチを生みだす。写真下は「ラグジュアリー ファブリクス」社が所有する工場の1つ。
お問い合わせ先
エスコリアルのブランドに関するお問い合わせ/
ディー・ビジョン・オー TEL: 06-4707-4155
製品に関するお問い合わせ/
伊勢丹新宿店 TEL:03-3352-1111(大代表)
[MEN’S EX 2017年10月号の記事を再構成]
撮影/若林武志 スタイリング/四方章敬 文/秦 大輔